2分でわかるアメリカ

2011/08/24マーケット不安定のもう一つの理由


今週の金曜日26日にワイオミング州のジャクソンホールという山のリゾートで開催されるカンザス地区連銀主催の経済会合に世界の注目が集まっています。先行きが不透明で、マーケット、特に株式相場が乱高下する中、バーナンキ議長が演説で「QE3の可能性を示唆するのか」思惑が広がっています。

こうした中、サンフランシスコ地区連銀が今週発表した調査報告では、ベビーブーマーが引退することにより株式相場は今後10年間下がる可能性があるという衝撃の内容でした。

ベビーブーマーとは、第二次世界大戦後の1946年から1964年に生まれた世代です。ちなみに日本のベビーブーマーは「団塊の世代」と呼ばれています。

アメリカのベビーブーマーの人口は約8000万人。可処分所得が1兆ドル(約77兆円)あり、アメリカ全体の富の70%近くが集中しています。

サンフランシスコ地区連銀の調査では、引退する年齢に達したベビーブーマーが大量に引退、大量に保有する株式を売るとみています。このため、株式相場は2021年まで売り圧力となり、去年末の水準と比べて13%低い水準になると予想しています。さらに株式相場の軟調は続き2027年になっても2010年の水準は回復しない可能性があるとしています。

ただ、調査ではベビーブーマーの売り圧力がなくなる2030年には2010年と比べて約20%上るだろうとサンフランシスコ地区連銀の調査を歴史的なパターンを基に分析しています。

現在の不安定な株式相場は、アメリカの景気の鈍化や財政問題、そしてヨーロッパの債務危機や信用不安など世界規模で不透明感が強まっていることが背景です。しかし、ベビーブーマーの大量引退という構造的な問題があることは、あまり議論されてこなかったため注目されています。  

この問題は日本にとっても「対岸の火事」ではありません。日本は世界で最も少子高齢化が進んでいるからです。最近、国債が売られマーケットを動揺させたイタリアも日本に次いで高齢化が進んだ国として知られています。

[August 23, 2011] No 0104837

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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