2分でわかるアメリカ

2011/08/23米M&Aに急ブレーキ


FRBは現行の超低金利政策を少なくとも今後2年間続けることを決めました。S&Pが米国債の格付けを引き下げましたが、当初の予想に反し米国10年債利回りは先週2%を割り込み史上最低水準に低下しました。

数年前は「5%でも低い」とされたアメリカの住宅ローン金利は3%以下のものも珍しくありません。しかし、住宅市場は回復するどころか、深刻化する一方です。家を買いたい人はたくさんいるのですが、銀行や住宅ローン会社がお金を貸してくれないのです。「守りに入った金融機関がローン審査を厳しくしていることが影響しています。

一方、企業は、資金が調達できずM&Aを断念するケースなどが相次いでいます。ウォール・ストリート・ジャーナルは、デンバー・ポストなどを傘下に持つ新聞グループのメディアニュース社が同業のフリーダム・コミュニケーションの買収を断念したと伝えています。生き残りをかけ業界2位へ規模の拡大を狙ったのですが、3億5000万ドルの資金が調達できなかったのです。

また、セントルイス・ポストを傘下に持つリー・エンタープライズは10億ドルを社債市場から調達しようとしましたが断念しました。

オンライン化が進む中で、新聞社は社債市場でも「ジャンクボンド」扱いされ、高いリスクプレミアムを払わないと資金が調達できません。銀行も融資してくれません。政府や住宅ローンが最低の金利まで低下した反面、先行き不透明または信用力のない会社は超高金利を払わない限り資金が調達できないまたは全く資金が調達できない状態になっています

 ウォール・ストリート・ジャーナルはまた、株式相場が不安定なため、新規株式公開の計画を保留している会社が10社以上あるとしています。金融取引はアメリカの「十八番」。しかし、経済の先行きが不透明な中、その「十八番」が動かなくなっています。 

[August 22, 2011] No 0104836

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.04.25 更新日本であまり報じられない問題日本のメディアがほとんど報じないのに、海外では大きく伝えられる。日本国内とは全く別の視点で報じられる。日本の役所が絡む問題、日本にネガティブな問題はこれらの傾向…
  • 2019.04.24 更新ソフトバンク孫氏、個人投資で大損社会現象と言えるほど騒がれたビットコイン。インターネット上の仮想通貨です。中国でのブームが去った後、日本の個人投資家が積極的に買ったとされています。2017年1…
  • 2019.04.23 更新不動産低迷、シドニー、ロンドン、ニューヨークオーストラリアの住宅価格の下落が顕著です。西端のパースはピークから18%下落。最大都市シドニーは14%ダウン。メルボルンの住宅価格は10%下げました。供給過剰、…
  • 2019.04.20 更新ビバリーヒルズ90210に住む、いくら必要アメリカ人の一部の間で「50/30/20ルール」という指針があるそうです。手取り収入の50%は必要経費。住宅ローンや家賃、食料品、ガソリンや公共料金、保険など生…
  • 2019.04.19 更新外為は通常で株は休場、わかりづらい祝日祝日は祝日。日本人なら誰でもそう思います。アメリカは違う。連邦政府が祝日に指定しているのに、地域によって休みにならないことがあります。逆に、連邦祝日ではないのに…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ