2分でわかるアメリカ

2011/08/06CASH IS KING


世界中の株式相場が大荒れ、国債は低金利で安全神話も崩れました。さらに不動産市況も低迷する中で、個人だけではなくプロの投資家も機関投資家も金融商品を手放し、現金を手元に持つ傾向が強まっています。

カストディ銀行、つまり有価証券の管理業務で全米一のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン、通称BNYメロンが多額の現金を預ける顧客に対し手数料を課す準備を始めました。

一般に銀行は、預かりがほとんどない人には手数料を取り、大金を預けている人には優遇します。しかし、BNYメロンの今回の動きはその逆です。5000万ドル(約40億円)以上の現金を預かっている一部の顧客に対し0.13%の手数料を課す計画です。金融商品をパニック的に売った顧客が急増するだろうとの読みからです。

企業も現金を手元に置いておこうとする傾向が強まっています。アメリカでは、借金を最大限して設備投資や雇用に回し会社を大きくするのが主流でした。

しかし、景気の先行きが世界規模で不透明なため、とりあえず現金で持っておこうという経営者が増えているのです。キャッシュ・リッチはハイテク企業に多く、アップルは約660億ドル(約5兆3000億円)もの現金を持っています。  

「現金を溜め込む」というと僕だけではなく多くの人が日本人を思い浮かべます。つまり日本化が進んでいるとも言えます。別の言い方では、お金が回っていないのです。

こういう状態では、雇用も増えないし、住宅価格も下げ止まりませんし、株式相場も上がりません。

ロイターの記者は、いまの世界の金融マーケットはリーマンショックがあった2008年と類似しているという記事を書いています。2008年と比べ、金融機関の財務体質は確実に強化されましたし、株式相場も下がったとはいっても3年前ほど安くなっていません。

その反面、アメリカやヨーロッパの政府や中央銀行の出来ることが3年前より少なくなっています。また、オバマ大統領は来年に選挙、フランスもドイツも中国も政府のリーダーの交代期が近づいています。もちろん日本もです。

現金が一番(CASH IS KING)」という言葉が聞こえなくなった時、はじめて景気が良くなるのでしょうね。

[August 05, 2011] No 010474

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.12.15 更新トランプ大統領、任期全うできるか12月9日からの1週間は、トランプ大統領にとって就任以来で最悪の週だった。ワシントンポストのコラムニストが伝えました。確かに、トランプ大統領に打撃となるニュース…
  • 2018.12.14 更新アメリカのガラパゴス日本に帰国する際は非接触型ICカードを使っています。JR東日本のSuicaや首都圏の地下鉄やバスで利用できるPASMO。コンビニや自販機でも使えて便利だと思いま…
  • 2018.12.13 更新FRBの利上げけん制、最後のプッシュアメリカのトランプ大統領が11日、ロイターのインタビューを受けました。ウォール街で話題に。金融情報に強い通信社による単独インタビューのため、慎重に準備したことが…
  • 2018.12.12 更新ホワイトハウスの重要ポスト先週末まで、「ホームランド」をアマゾンプライム・ビデオで毎日観ました。2011年から放送されているCIAエージェントのテロリストとの戦いを描いたテレビドラマで8…
  • 2018.12.11 更新中国がiPhone差し止め、微妙なタイミング中国の福建省福州の裁判所が、特許侵害をめぐるクアルコムとの訴訟に関し、アップルのiPhoneの輸入と販売を差し止める仮処分を下したことが明らかになりました。クア…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ