2分でわかるアメリカ

2011/08/02「合意」でも残る米格下げリスク


アメリカの政府・野党の民主党と共和党の指導者が債務上限の引き上げで合意しました。期限ギリギリで合意するというのは識者やマーケット関係者の予想通りでしたが、それでも実際に合意したことで安堵が広がりました。

しかし、もう一つの問題、米国債が最上級格付けであるトリプルAが初めて引き下げられるリスクは依然不透明です。というのも有力格付け会社は「財政赤字を4兆ドル削減できればトリプルAを維持できるとしていますが今回合意できたのは2.1兆ドルでした

実際に格下げされたらどうなるのか。初めてのことなので過去の例はありません。参考になるのは外国の例です。

ダウ・ジョーンズによりますと、ムーディーズが1998年に日本国債の格付けをトリプルAからAa1に1段階引き下げました。ウェルズファーゴによりますと、格下げされた当日の円相場は0.7%下落しました。しかし3カ月後、円相場は格下げされる直前の水準と比べ1.1%上昇しました。

「ただ日本株と日本国債の相場はほとんど動かなかった」とバークレイズ・キャピタルのストラテジストがウォール・ストリート・ジャーナルに語っています。

ムーディーズから3年弱遅れてS&Pが日本国債をトリプルAから一段階引き下げました。この次の週に日本10年債の利回りは0.24%低下しました。

有力な格付け会社が一斉に格下げするのではなく、そのタイミングが大きくずれることも影響して、相場への影響は思っているほど大きくありません

カナダやオーストラリアが1990年代にトリプルAから一段階引き下げられたときも、相場が極端にネガティブな方向に動くことはありませんでした。オーストラリアドルは、格下げ後に10%以上高くなりました。

 アメリカの国債は世界で最も安全とされてきましたし、ドルは基軸通貨として世界中の取引で使われています。このため、日本など外国の例がどこまで当てはまるのかわかりません。ただ、間違いないことは、最上級の格付けを再び獲得するには長い時間がかかる可能性が高いということです。オーストラリアは10年以上かかっています。 

[August 01, 2011] No 010470

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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