2分でわかるアメリカ

2011/07/30最大のヤマ場、見方分かれるドル相場


世界が注目するアメリカ連邦政府の債務上限引き上げを巡る問題。失敗すればデフォルト、つまりアメリカ合衆国は破たんします。ただ、ギリシャなどと状況が大きく異なります。アメリカは経済規模が大きいため累積債務額も大きいのですが、GDP比は70%程度。ギリシャは150から170%程度、日本は200%です。つまり、政治ゲームの結果として破たん状態になるリスクがあるということです。

共和党のベイナー下院議長が提案した歳出削減と債務上限引き上げをセットにした法案は現時点で採決に至っていません。仮に可決されても民主党主導の上院が否決、またはオバマ大統領が拒否権を発動するため「法律にはならない」可能性が高そうです。ワシントンの誰もが来年の選挙を意識していて柔軟になれないのです。

債務上限が政府の銀行口座から資金が枯渇する前に最終合意に至るのか、米国債のトリプルAの格付けが維持されるのか。前者については、大多数の人がギリギリで成立すると予想しています。後者に関しては、誰も自信が持てない、または不透明です。

ドルはどうなるか。ガートマン・レターで知られるデニス・ガートマン氏は議会が債務上限引き上げに合意した直後にドルは上昇すると投資家に見通しを示しています。

一方、CNBCによりますと、デンマークの大手銀行ダンスケバンクのアナリストは、ドルの売買を慎重にするよう投資家に伝えています。ドルは基軸通貨であるため、ネガティブなニュースが出た場合にリスクを回避する投資家が増えることも考えられるとしています。

例えば、S&Pが米国債をダブルAに格下げした場合は、大半のマーケット関係者がドル売りに繋がると予想していますが、デンマークのアナリストは「逆にドル買いもありうる」と見ているのです。

それでは米国債の格下げは本当にあるのか。レーガン政権下で予算局長を務めたデビッド・ストックマン氏は「アメリカの財政は完全に壊れている」として「既にトリプルA」ではないとアメリカのメディアに語っています。

一方、スイスの大手銀行であるクレディ・スイスはアメリカの格下げの可能性は「50:50」と見ています。また、クレディ・スイスは仮にアメリカ政府がデフォルトになれば株式相場は30%下落、GDPを5%押し下げると予想しています。

大統領も議会も週明けのアジアマーケットを強く意識していて、アメリカ東部時間の31日・日曜日に事態が動く可能性が指摘されています。債務上限引き上げを巡る協議は最大のヤマ場を迎えます。その内容次第で格付けの方向が決まることも予想されます。  

[July 29, 2011] No 010468

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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