2分でわかるアメリカ

2011/07/2674回引き上げられた米債務上限


アメリカ連邦債務の引き上げを巡り議会での協議が難航、期限の8月2日までに合意しない場合はデフォルトになる、という情報をこれまで何度もお伝えしました。日本のメディアでも頻繁に報じられていますが、「債務の引き上げ」とはどういうことなのか、意外と知られていません。

ここで言う債務とは、アメリカ政府の借金です。法律で債務に上限を設定するという考えは1917年頃生まれました。それまでは、借金の証書である米国債を発行するごとに、政府は議会の承認を得ていました。しかし、第一次世界大戦で自由に借金できるよう上限を設定し、上限までなら承認なしで何度でも借金できるよう柔軟性を持たせることが狙いでした。

上限を超えて借金する場合は、議会が上限を引き上げる必要があります。上限は1962年3月から74回も引き上げられていますこのうち2001年からは10回引き上げられました

政府の長である大統領が所属する政党と議会の与党が同じ政党であれば、政府が上限引き上げを求めれば、問題なく議会が承認するのですが、いまのアメリカは「ねじれ議会」で協議が進まないのです。格付け会社ムーディーズは「上限そのものをなくした方が好ましい」と主張していますが、それも難しそうです。

現在の上限は14兆2940億ドルですが、8月2日に上限に達します。オバマ大統領をはじめとするホワイトハウス関係者、そしてベイナー下院議長をはじめとする議会の指導者とスタッフは先週末を含めギリギリの交渉を続けていますが、現時点で解決策は見い出せていません。富裕層や大手企業側に立つ共和党と社会的弱者側に立つ民主党の溝は大きく予断を許さない状況です。

債務上限の引き上げを巡る報道の中で、巨額の財政赤字を抱える日本との比較を良く目にします。日本国債が「格下げがあっても金利が低水準」であるからです。ただ、8月3日以降に米国債の利回りがどうなるか予想の域を出ません。政治的な問題とはいえ、マーケットが大きく動揺する可能性があります。  

米国債について明日もお伝えします。

[July 25, 2011] No 010464

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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