2分でわかるアメリカ

2011/07/20米デフォルト危機の本当の理由


友人のマイケルに久しぶりに会いました。マイケルはロサンゼルス生まれのアイルランド系の白人です。写真家であり、画家であり、映像作家でサーファーでもあります。典型的なカリフォルニアのアーティストです。クリエイティブなセンスを磨くため、マイケルは旅が大好き。イタリアやメキシコにも頻繁に出かけていますが、最近、アメリカ南東部のフロリダに行ったそうです。

フロリダの美術館や博物館を回ったのですが、その内の一つで驚きの体験をしました。南北戦争の展示会場を訪れた際、説明員から「南北戦争は終わっていない」と言われたからです。

1861年から1864年まで続いた南北戦争は、独立後のアメリカで起こった唯一の内戦です。アメリカでは「The Civil War」(市民戦争)と呼ばれます。奴隷制度が背景で、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人が多く住む南部とヨーロッパから移民した白人が支配する北部との戦争。一言でいえば、白人VS黒人の内戦です。

フロリダの説明員に対し、マイケルが「150年も前に戦争は終わっている」と反論しました。しかし、黒人の説明員は「差別は残っていて、戦争は終わっていない」と真っ赤な顔で大声をあげました。

カリフォルニアは全米の中で最もリベラルな州で、外国人の割合が多いため、マイケルも僕も「南北戦争が続いている」なんて考えたこともなかったのですが、南部ではいまでも「しこり」が残り、ウルトラ保守なティーパーティーという政党が躍進するなど保守的な白人グループが巻き返しをはじめています。

マイケルは、「北部の白人にとって黒人の大統領は容認できないのかもしれない」と語りました。

連邦政府の債務の上限を巡ってオバマ大統領と議会が対立、アメリカが「テクニカルなデフォルト」になる危機が高まっています。議会を主導するのは共和党。共和党の支持者の多くは伝統的な白人、または白人の保守層です。マイケルの論理によると、ワシントンでいま起こっていることは「黒人の大統領いじめ」と言えるかもしれません。  

[July 19, 2011] No 010460

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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