2分でわかるアメリカ

2011/07/12なぜ米国がデフォルトになる可能性があるのか


2週間の日本滞在を終えて戻ったのですが、アメリカは債務の引き上げ問題を巡るニュースで一杯でした。テレビも新聞もオバマ大統領と議会指導者との協議の影響を大きく取り上げています。

債務引き上げ問題とはいったい何か。

アメリカの連邦政府は国債の発行など、いわゆる国の借金の上限が14兆2900億ドル(約1157兆円)と定められています。8月2日までに法律を修正し借金を増やさなければ国債の償還に伴う支払いなどが出来なくなります。つまり、デフォルト(債務不履行)になるということです。法律の修正が出来るのは立法府であるアメリカ議会です。アメリカ議会は去年11月の中間選挙で「ねじれ議会」になったため、問題が複雑になっています。

行政府であるホワイトハウスと議会は、約4兆ドル(約324兆円)の財政赤字を今後10年間で削減するという目標では一致していましたが、交渉がもつれ削減額が2兆ドル(162兆円)程度になる可能性が高まっています。また、その手法に関しても大きな意見の相違があります。

民主党のオバマ大統領が率いるホワイトハウスは、富裕層への所得税優遇を含む税の仕組みを見直すこと、事実上の増税を主張しています。これに対し、下院で過半数の議席を持つ共和党は富裕層の優遇措置を2012年末で終了することに合意したものの、景気が弱い中での増税に反対しています。共和党は増税ではなく、低所得者層など社会的弱者に恩恵を与えているメディケアやメディケイドといった医療制度を抜本的に見直すことを主張しています。これにはホワイトハウスがノーです。週末を含めてオバマ大統領と議会指導者が話し合いを続けていますが、溝は埋まっていません。

実は21年前にも同様なことがありました。ブッシュ大統領(共和党・当時)と上下両院の指導者(民主党)は、1990年に増税と農業補助金やメディケアの削減で合意しました。しかし、2年後の大統領選挙でブッシュ大統領(当時)はビル・クリントン候補(当時)に敗北しました

21年前の短期金利は8%、失業率は5.9%でした。当時と比べ経済状況が悪いため単純に比較は出来ませんが、オバマ大統領も議会指導者も来年の選挙を意識していることは間違いなく、状況をさらに複雑にしています。8月2日までの約3週間、債務の引き上げを巡るギリギリの交渉が続きそうです。  

[July 11, 2011] No 010454

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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