2分でわかるアメリカ

2011/06/15世界最悪はギリシャではなく米国


S&Pが昨日、ギリシャ国債の格付けを世界最低のトリプルCに引き下げたことは、ヨーロッパだけでなくアメリカでも大きく報じられました。債務問題への懸念でユーロ安が進みマーケット全体を不安定にしているということもあるのですが、本当に心配なのは自国の債務問題です。  

債券ファンドで世界最大手のピムコのビル・グロス氏は「アメリカの債務問題はギリシャより深刻だ」とCNBCのインタビューで答えました。それによりますと、アメリカの財政赤字の累積は14.3兆ドル。この中にオバマ大統領が署名した医療保険法に伴う社会保障や医療費補助金が含まれておらず、それらは50兆ドル規模に相当するとビル・グロス氏は語っています。

さらに、金融危機の際に拠出した公的資金などを含めると、アメリカは100兆ドル規模の債務を抱えているに等しいというのがビル・グロス氏の主張です。

アメリカの議会では、連邦政府の債務の上限を撤廃するかどうかを審議していて、今年8月に結論が出ます。これに関連して、フィナンシャル・タイムズは、アメリカの大手銀行が、デリバティブなどの金融取引の担保としてアメリカ国債を受け入れることを止めるかもしれないと報じました。もしそうなれば、アメリカ国債が暴落する可能性が指摘されています。ドル相場をはじめマーケットへの影響も予想されます。

アメリカ国債が暴落するということは、利回りが急上昇し、アメリカがデフォルトに陥る可能性が高まります。つまり、いまギリシャで起こっていることがアメリカでも起こり得るということです。

オバマ大統領はけさNBCに出演し、「債務の上限の引き上げを議会が否決した場合金融危機になる」と警告しました。また、オバマ大統領の経済顧問だったサマーズ氏は「アメリカが失われた10年の途中にある」として景気対策の必要性を有力紙への寄稿文で主張しました。債務の追加を伴う景気対策と財政赤字問題への対応のバランスが過去に例がないほど難しくなっています。

[June 14, 2011] No 010436

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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