2分でわかるアメリカ

2011/06/07“It's the economy, stupid”


1992年の大統領選挙で、再選を目指したジョージ・ブッシュ大統領(当時・父ブッシュ)は湾岸戦争の大勝利で自信満々でした。民主党のビル・クリントン候補(当時)との討論会でも、外交や防衛の実績を強調しました。これに対し、クリントン候補は「It's the economy, stupid(あなたは愚か者だ!問題は経済なんだよ)」と反論しました。

「Stupid」というのは、いわゆる放送禁止用語なのですが、この単語をテレビ討論会で、しかも大統領を決める選挙の討論会でクリントン候補が使ったため話題になり流行語になりました。

結論はご存知のようにクリントン候補の大勝利に終わり、父ブッシュ大統領は再選を果たせませんでした。そして「美しい国」を目指した安倍総理(当時)が辞任に追い込まれた際、アメリカのタイム誌が、このフレーズを引用して日本国民との認識のズレがあったと伝えました。

この有名なフレーズが、今度はまたアメリカで目にするようになりました。来年2012年に実施される大統領選挙を控え、景気の減速を示す経済指標が相次ぎ、失業率が上昇、オバマ大統領の再選に黄色信号が点滅しているからです。

国際テロ組織アルカイダのオサマ・ビンラディン指導者の死亡や歴史的なヘルスケア改革がオバマ大統領の成果ですが、国民生活に良い影響が出るのはまだまだ先です。というよりも、新たなテロの脅威が生まれ、保険料が値上げされるなどネガティブな影響が出ています。

ニューヨーク・タイムズは、失業率が7.2%を超えた時代に大統領が再選されたことは、第二次世界大戦以降では一度もないと伝えています。先週金曜日に発表された5月の失業率は、9.1%でした。

また、別の政治アナリストは、過去6回の選挙を分析、再選と失業率の関係だけではなく、GDP成長率や可処分所得の伸びなどを総合的に判断すべきだとしています。この方法だと、オバマ大統領の再選の確率がわずかに上がるのですが、それでも相当厳しいことに変わりありません。

追加量的緩和、いわゆるQE3が議論されはじめましたが、FRBは独立した機関なので選挙とは別の次元で政策を決めると思います。しかし、ホワイトハウスの高官は、オバマ大統領が再選されなければ職を失います。このため、あらゆる手段で雇用や住宅をはじめとする景気刺激策を打ち出していくのではないかとみられます。「問題は経済」ですから。  

[June 06, 2011] No 010430

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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