2分でわかるアメリカ

2011/06/03見方分かれるQE3の可能性


アメリカ経済の減速を示す経済指標の発表が相次いでいます。明らかに雇用と住宅が弱く、それと関係して消費マインドが低下しています。これらは、アメリカで暮らしていて体感する景況感と一致します。

近所の低価格のファーストフード店が繁盛している反面、高級レストランでは閑古鳥が鳴いています。僕の周りには、失業しているアメリカ人が何人もいます。住宅は不良債権化した在庫が膨らんでいるとか、価格が2002年水準まで下がったと伝えられていますが、実際に近所の物件を見ると、依然として価格が高く、当然バイヤーがつかず、ずっと「売り看板」が出ています。

こうした中、FRBが実施している米国債の買い取り第2弾、いわゆるQE2が今月末で終了します。景気にブレーキがかかったデータが相次いでいるため、第3弾、つまりQE3があるだろうとの期待が当然出始めているのですが、状況は複雑でなさそうという見方がやや優勢です。

CNBCでは、マーケット関係者やFRBウォッチャーが大議論をしていました。債券投資で世界最大手のピムコのエラリアンCEOは、FRBのバランスシートの問題や国債買い入れにより市場に出回った資金が新興国などに流れ効果が限定的であることなどを理由に「QE3はない」と主張しています。

シティバンクの為替アナリストであるグレッグ・アンダーソン氏は、アメリカのGDPが1期でもマイナス成長にならない限り、FRBはQE3に踏み切れないとしています。その一方で、MFキャピタルのサイモン・モーン氏は、景気減速が鮮明でFRBは対応しようとするとしてQE3の可能性が高いとCNBCに語りました。

FRBのバーナンキ議長は「金融政策は効果とコスト、そしてリスクのバランスを見ながら判断する」と4月の記者会見で述べましたが、景気が減速している一方で、インフレ率がQE2を決めた去年後半より高いことなどから、「FRBは次の一手を急がない」と今朝のウォール・ストリート・ジャーナルが伝えています。  

[June 02, 2011] No 010428

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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