2分でわかるアメリカ

2011/06/02代替ではなく本物の通貨になった金


アメリカのテレビや新聞で金取引や金コインの宣伝を目にしない日はありません。それほどアメリカは金ブームです。ほとんどの宣伝は「政府は紙幣を刷りまくっていてドルの価値は下がるばかり」として、金コインや金の地金、または金相場と連動したETFへの投資を勧めています。  

こうした中、ユタ州で金と銀のコインや地金を通貨として認める州法が成立し、今月から連邦政府が鋳造した金と銀のコインを通貨として使用できるようになりました。コインの額面ではなく、金と銀の相場に連動した価値の通貨として使えます。例えば、1オンス(約28グラム)の銀でできたアメリカン・イーグル・コインは38ドルとして使えます

ユタ州は、モルモン教の信者が多いことで知られています。保守的なモルモン信者が多いユタの議員は、ヘルスケア法や金融機関への公的資金の注入、そして景気刺激策などで邦政府はいずれ破たんすると考えていて州民モルモン信者を守るために金と銀を通貨として認めることにしたという訳です。

ユタ州に続いて、ミネソタアイダホジョージア州の議会が同様の法案を提出する方向です。アメリカの連邦憲法10条1項は、州政府がコインを鋳造することを禁止していますが、金の価値と連動した独自の金コインを鋳造することも検討されています。

第二次世界大戦を挟んで基軸通貨がポンドからドルに変わりました。当時、世界の貨幣用の金の60%をアメリカが持っていたため実現しました。金1オンスは、35ドルと決まっていました。その後、いわゆるニクソン・ショックで金本位制が放棄されたのですが、考えてみればユタ州の動きは、昔に戻すということなのです。

ユタ州の州都ソルトレイクシティで、金や銀で実際に買い物をした人はまだいないそうです。価値が下がっていくと思うドル紙幣を買い物で使い、将来価値が上がっていくと思う金を手元に置いておきたいと考えるのは当然ですから。

[June 01, 2011] No 010427

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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