2分でわかるアメリカ

2011/05/31地震予知の可能性


イタリアの裁判所が先週、300人余りが犠牲になった一昨年のイタリア中部のラクイラ地震に関し、適切に警告しなかったとして政府委員会メンバー7人を過失致死罪で起訴したことが、アメリカで論議を呼んでいます。

内務省傘下のアメリカ地質調査所、USGSは直ぐに異例の声明を出しました。USGSはウェブページで「USGSもカルテック(地震研究で有名なロサンゼルスの大学)そして他の科学者も地震を予知できたことは一度もない」と主張しています。

ワシントン州の研究者も「地震を予知することは出来ない」とアメリカのメディアに語っています。チャップマン大学の地球科学の教授は、化学専門サイトであるライブサイエンスに対し、東日本大震災を例に挙げ、科学者が地震を予知できるようになるにはまだまだ時間がかかると指摘しています。

ニュージーランドのクライストチャーチで発生した地震の数日前にクジラが107頭打ち上げられ、茨城では東日本大震災前にイルカが大量に死んだことが確認されています。しかし、動物の異常な行動と地震の関連性は科学的な根拠がないとアメリカでは考えられています。過去のデータで裏付けが取れないのです。

イタリアの裁判所は、1年間に渡って起訴するのに十分な証拠を集めたとされています。5000人以上の世界の地震学者が、イタリアの裁判所に起訴しないよう求めていましたが、裁判所は起訴に踏み切りました。署名した学者には、日本の地震学者も含まれています。

きょう30日、アメリカはメモリアルデーのため祝日です。メモリアルデーは、戦争で亡くなった兵士を称える日で、南北戦争で犠牲になった北軍の兵士を追悼したのが起源です。例年、ワシントンでの追悼式がテレビのトップニュースなのですが、今年は竜巻で140人近くが犠牲になったミズーリ州ジョプリンでの追悼行事がトップでした。竜巻の発生場所が事前に分かっていたら、犠牲者は大幅に減った可能性がありますが、地震同様、自然災害を正確に予測するのには限界があります。

地震の予知の可能性と、その責任を問う異例の裁判は今年9月から始まります。判決までには半年から2年程度かかるとみられています。

[May 30, 2011] No 010424 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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