2分でわかるアメリカ

2017/04/08地政学リスクと米雇用統計

7日のマーケットで米ドル相場が乱高下しました。アメリカ労働省が発表した3月の雇用統計が弱かったことに加え、アメリカ軍のシリア攻撃という地政学リスク、さらに米中首脳会談という重要イベント中という要素が相場に影響しました。

雇用統計で重視される非農業部門の雇用者数は9万8000人増にとどまりました。予想の18万人増を大幅に下回りました。失業率は4.5%に改善、賃金は前月比0.2%増加しました。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、雇用ペースが減速したが、労働市場が引き続き堅調であることが示されたことで、FRBが計画通り利上げを継続しそうだと報じました。

ワシントン・ポストも、雇用増加が予想を下回ったが、労働市場が堅調であることが示されたと伝えました。ただ、トランプ政権発足から77日しか経っていないのに、投資家の忍耐が切れ始めていて、アナリストが慎重になっていると解説しました。

一方、トランプ政権は6日夜、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定、対抗措置として、アサド政権の空軍基地を巡航ミサイル「トマホーク」59発で攻撃しました。中国の習近平国家主席と会談のためフロリダに滞在しているトランプ大統領は、「化学兵器の拡散を防ぐことは、アメリカの安全保障上の利益だ」との声明を発表しました。一方、アサド政権を支持しているロシアのプーチン大統領は「侵略行為であり、国際法違反だ」と強く反発しました。

ニューヨーク・タイムズは、トランプ大統領がシリア問題で独自の外交姿勢を示し、大きなリスクを取ったと解説しました。CNBCは、シリア攻撃をEUなどの同盟国が支持したとした上で、議会も支持したが、攻撃拡大について大統領に権限を与えるとは思えないとする専門家の意見を伝えました。

フィナンシャル・タイムズは、アメリカ軍のシリア攻撃が米中首脳会談に暗い影を落としたと報じました。トランプ大統領が北朝鮮に単独でも行動することを示唆したことに説得力が増したが、中国政府はシリア攻撃を批判する声明を発表したとしています。トランプ政権の対中外交のスタッフがまだ揃っていないこともあり、米中首脳が実質的な合意に達することに懐疑的な見方が多いと伝えました。

 
[April 07, 2017] No 0223193

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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