週刊2分でわかる豪・NZ

2017/09/14豪ドル0.80は行き過ぎか

「アメリカナイズに懸念」

雇用者数が大幅に増え、失業率は歴史的な低さ。アメリカの中央銀行にあたるFRBは、完全雇用に近づいているとの認識を示しました。ただ、賃金の伸びが鈍いとも指摘しています。

アメリカの労働市場は堅調ですが、賃金格差の問題は全く解消されていません。それどころか格差が拡大しています。企業幹部が信じられないほどの高い報酬を受けとる反面、最低賃金で働く人が非常に多い。業績が悪くなると、まず人員整理に動く企業風土があり、アメリカ人の職はいつも不安定です。

「オーストラリアの労働市場がアメリカナイズしている」。オーストラリアの労働組合ACTUが、13日に発表した報告書の中で警告しました。所得格差が過去70年で最大に拡大、労働者の生活水準が下がっている。しかも、雇用不安を抱えているとしています。このままいくと、オーストラリアがアメリカ社会のようになってしまうと主張しました。

オーストラリアの文化は、同じ英語圏のアメリカの影響を大きく受けています。人気の観光先はハワイとロサンゼルス。映画はハリウッド、ファッションはアメカジ。ビジネス慣習もアメリカ的。ただ、労働環境に関しては、アメリカのやり方に否定的です。

金融政策に関してもアメリカとはやや違うスタンス。FRBが緩和から引き締めに転換した際、その後の追加利上げの際も、「後を追う」という議論は起こりませんでした。

「カナダ中銀」

カナダの中央銀行が先週6日の金融政策委員会で政策金利を0.25%引き上げ、1.00%としました。3カ月で2回目の利上げ。

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の最新の週間レポートのタイトルは、「カナダの中央銀行が、RBA(豪中銀)にとって何を意味するか」でした。

カナダとオーストラリアは地理的に遠いものの、近い関係にあります。同じイギリス連邦で英語圏。いずれの国家元首もエリザベス女王。国土が広く、資源が豊富。 豊かな自然と穏やかな国民性も似ています。白人中心の社会ですが、アジア系、特に香港からの移民が目立って多い。

NABは、レポートの中で、カナダ中銀の利上げが豪中銀の金融政策にどう影響するかを分析しています。

過去9〜12カ月、カナダ経済はオーストラリア経済より相対的に強かった。カナダのGDP、小売売上高、消費者信頼感がいずれも堅調。一方、オーストリア経済も回復の兆しがみられるとしています。さらに、カナダ中銀の利上げは景気刺激策の縮小を狙ったものだが、RBAも広い意味で景気刺激措置を取っているとしています。

その上で、RBAが、インフレ率が目標レンジの中間に上昇する前、また、労働市場が一段回復する前に、カナダ中銀に続く可能性があるとコメントしました。

「豪ドル上値重いか」

RBAのハーパー理事は、12日のブルームバーグの電話インタビューの中で、「利上げを正当化するには、まだ成長が弱い」と述べました。さらにハーパー理事は、マーケットの米ドル安基調を受けた豪ドルの上昇が成長の重石になっているとの認識を示しました。

豪ドルの対米ドルはこのところ、0.80ドル台に乗せると伸び悩む傾向があります。ANZは、0.80ドル台への上昇は行き過ぎとみられるが、米ドルの不確実性が豪ドルをその水準近辺で下支えする可能性があるとコメントしました。

豪ドルは当面、マーケット全体の米ドルの動きに連動しそうです。ただ、対米ドルでは0.80ドル台に乗せると上値が重い展開が続く可能性があります。クロス取引の対円相場は、米ドル/円の振れが大きいことから、その影響を大きく受けそうです。

一方、NZドルは、9月23日に実施されるニュージーランドの議会選挙をめぐる思惑が影響しそうです。接戦となる可能性があり、世論調査の結果に左右される展開が続くことが予想されます。
 
 [September 14, 2017 AN0107] 

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.09.20 更新悪環境で上がる資源国通貨※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(18日更新)はこちら(マイページへログイン)「トランプ関税の影響、限定的」アメリカのトランプ大統領は17…
  • 2018.09.13 更新投資家の関心、オセアニアから北米へ※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(10日更新)はこちら(マイページへログイン)「NZ中銀法見直しへ」ニュージーランド財務省は今週10日、中…
  • 2018.09.06 更新豪経済、強い成長で利下げ?※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(3日更新)はこちら(マイページへログイン)「豪成長堅調、貯蓄率は過去10年で最低」オーストラリアの統計局…
  • 2018.08.30 更新「幼稚園は無視」も豪ドルに重石※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(27日更新)はこちら(マイページへログイン)「ドタバタの1週間」オーストラリアのモリソン首相率いる内閣が…
  • 2018.08.23 更新「次は利上げ」を見直したNZ大手銀※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(20日更新)はこちら(マイページへログイン)「堅調だったNZ小売」ニュージーランド統計局が22日発表した…

「週刊2分でわかる豪・NZ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ