週刊2分でわかる豪・NZ

2017/08/24通貨も影響か、東京よりずっと高い住宅

「シドニーが2位」

「年収の5倍程度が購入可能な住宅の目安」などと、かつて日本では言われました。

バブル崩壊後のデフレ、少子高齢化などを背景に、日本のアパート(マンション)の多くは耐久消費財化していると思います。価格が年々下がる。買った時が最高値というわけです。もちろん例外も少なくないと思いますが。日本とは逆に、多くの海外の都市では住宅価格が上がり続けています。オセアニアも例外ではありません。

ニュージーランド・イニシアティブという研究グループが、日本、香港、シンガポール、アイルランド、イギリス、アメリカ、カナダ、そしてオーストラリアとニュージーランドの計9カ国・地域の都市の住宅価格を比較したレポートを公表しました。単純に価格を比べたのではなく、住宅価格の中央値が、所得の中央値の何倍かを比較したランキングです。

最も住宅が高かったのは香港。年収の18倍も出さないと住宅が買えないことを示しています。2位はオーストラリア最大都市のシドニー。メルボルンも6位に入りました。東京より住宅が大幅に高いロサンゼルスは8位。ニュージーランド最大都市のオークランドは4位でした。ちなみに日本の都市はトップ10に入りませんでした。

香港の住宅価格の高さは、フォーブス誌やイギリスの不動産会社の調査でも抜きん出ていました。それでは2位のシドニーはどうして高いのか。2012年からの5年間で5割近く値上がりしました。2つの現象が要因の一部と言えそうです。

まずは中国人の存在。シドニーの繁華街では、中国人の姿がとにかく目立ちます。日本では家電や日用品を爆買いしていますが、シドニーでは住宅を積極的に買っています。UBSの調査では、中国人が現金で購入した集合住宅(アパート)のおよそ半分が空き部屋のまま。キャピタルゲイン狙いで「寝かせている」可能性があります。ただ、オーストラリア政府が外国人の住宅購入を制限したため、中国人の爆買いは一服しそうです。

もう一つはAirbnb(エアビーアンドビー)。シドニー大学の都市住宅ラボのデータでは、シドニーの賃貸住宅が6000軒も減りました。 大家さんの多くが、所得増の期待できる短期貸しに転じたのだと思います。

大都市の東京がランキングに入らなかったのは、通貨の問題だと思います。あくまでも個人的な意見ですが、「円は安すぎる」と日本に行くたびに感じます。一方、個人的な感覚ではオセアニアの通貨はやや高め。

「豪ドル見通し修正」

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が最新の週間レポートで、豪ドルの見通しを修正しました。米ドルの回復が想定より遅れるというのが最大の要因です。

NABは、今年9月末の豪ドルの対米ドル相場を当初の0.73から0.78米ドルに修正。年末は0.70から0.75米ドルへ。そして2018年は当初の0.70を 0.73米ドルへ修正しました。豪ドル高方向への修正ですが、緩やかな豪ドル安基調という方向は変えませんでした

米ドル/円については、9月末が112円、年末が118円、2018年3月末が118円と予想。クロス円通貨の豪ドル/円は来年3月末まで87円の水準が続くと予想しました。

「NZドル安予想多い」

NZドルが狭いレンジで推移しています。24日の取引では、総選挙を来月に控え、ニュージーランド政府が成長予想を下方修正した影響で、対米ドル、対円で安く取引されました。

今後については、緩やかなNZドル安が進むとの見通しが優勢です。ANZ、ウエストパック、そしてBNZが、それぞれNZドルが弱含むと予想しています。

オーストラリアと比べて住宅市場の減速が顕著であること、低インフレが続きニュージーランド中銀が当初の予想以上に長く政策金利を維持するとみられることなどが背景です。NZドルの対米ドルのロング(買い)ポジションが少し減りましたが、依然として歴史的な高水準にあります。いずれ調整されると予想され、これもNZドル安の要因になりそうです。

クロス円通貨のNZドル/円については、米ドル/円の振れがやや大きいことから、その影響を受けそうです。目先の材料は今週末のFRBのイエレン議長の演説、それを受けた米ドルをめぐるムードです。


[August 24, 2017 AN0104] 

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.11.08 更新NZドル、上昇基調に転じるか「金利据え置き」ニュージーランドの中央銀行にあたる準備銀行(RBNZ)は、8日に開いた金融政策委員会で1.75%の政策金利を据え置きました。市場の予想通り。金利…
  • 2018.11.01 更新相次いだ豪ドルの悪材料「中銀目標下回る」オーストラリア統計局が31日発表した第3四半期(7−9月)の消費者物価指数は、前年同期比で1.9%上昇しました。第2四半期と比べ伸…
  • 2018.10.25 更新投資家心理と豪ドル「過半数失う」オーストラリアのターンブル前首相の議員辞職に伴う下院補欠選挙の投票が、20日にシドニー東部のウェントワース選挙区で実施されました。即日開票された結…
  • 2018.10.18 更新慎重だった豪中銀、NZドルの底はまだ?「相当期間の据え置き」オーストラリアの中央銀行である準備銀行(RBA)が16日、今月2日に開いた金融政策決定会合の議事録を公表しました。議事録の中でRBAは、豪…
  • 2018.10.11 更新NZドルはまだ高いとの見方※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(9日更新)はこちら(マイページへログイン)「リスク回避」10日の欧米のマーケットが荒れました。ヨーロッパ…

「週刊2分でわかる豪・NZ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ