週刊2分でわかる豪・NZ

2017/08/17どうなるNZドル、利上げ時期は

「利上げ見通しを修正」

ニュージーランド経済の成長が続き、拡大7年目に突入しました。ただ、ここにきて、やや陰りがみえてきました。

15日のフォンテラが主導する乳製品のオークションは低調でした。GDT価格指数が0.4%低下。オークションは原則2週間に一度実施されますが、過去5回のオークションのうち4回のオークションで価格が低下しました。

住宅市場にも陰りが。最大都市オークランドの住宅価格は1月をピークに4%下落しました。他の都市でも住宅価格が弱含んでいます。

住宅はニュージーランド人の個人資産の多くを占めます。値上がりが続いたため、借金をして積極的に住宅を買いました。家計債務が膨らみ、過去5年間で約30%増えました。

こうした中、主な拠点をニュージーランドとオーストラリアに置くウエストパックが今週、最新の経済見通しを発表しました。

やや慎重な見通しでした。ニュージーランドのGDP成長率とインフレ率予想をそれぞれ下方修正。その上でウエストパックは、ニュージーランドの中央銀行(RBNZ)が現行1.75%の政策金利を当初予想より長く据え置きそうだとコメントしました。

RBNZが来年利上げに転じることが相場に織り込まれているとされていますが、ウエストパックは2019年末まで利上げがないと予想しました。

NZドル相場については、ゆるやかに下落するとの予想を維持しました。マーケット全体の米ドル安傾向を受け、過去3カ月間、NZドルの対米ドル相場の上昇基調が続きました。ただ、ウエストパックは米ドルがいずれ買い戻されると予想、NZドル/米ドル相場を押し下げるとみています。

具体的には、NZドルの対米ドル相場の9月末は、現在とほぼ同じ水準の0.72米ドルと予想しましたが、今年12月末が0.70米ドル、2018年3月末は0.69米ドル、そして2018年6月末は0.68米ドルと予想しました。

NZドルの対円相場については、9月末から四半期ごとに79 円20銭、77円70銭、77円30銭と予想しました。2018年末は75円90銭まで下落するだろうとしています。

ゆるやかNZドル安が続くとの見方はANZやBNZも一致しています。強弱感はありますが。

不透明なのは9月23日に実施されるニュージーランドの総選挙です。

ニュージーランドでは、2008年11月以来、中道右派の国民党が政権についてきました。マオリ族の政党など複数の小数政党と政策協力をしてきましたが、9月の選挙では小政党が苦戦すると予想されています。イングリッシュ首相率いる国民党+少数政党の組み合わせであればサプライズはないのですが、国民党+NZファースト、もしくは労働党+緑の党+NZファーストの連立政権が誕生する可能性があり、予断を許しません。

特に、最大野党の労働党を中心とした政権が成立した場合は、経済見通しが大きく見直される可能性があります。

「豪ドルは」

豪ドルがやや軟調に推移しています。7月末に対米ドル相場で0.80米ドル台に乗せましたが、オーストラリアの中央銀行が通貨高をけん制して以降、上値の重い展開が続いています。

16日の欧米マーケットで豪ドルが上昇しましたが、これはトランプ政権の混乱とFRBの金融政策をめぐる思惑で米ドルが売られた影響が大きいと指摘されています。

NZドルと同様に、豪ドルは当面、ゆるやかに下落するとの見方が優勢です。低いインフレ率が続くとの見通し、そして、オーストラリアの中央銀行が相当期間、過去最低の政策金利1.50%を維持するとの予想などが背景です。

豪ドルの対米ドル相場は現在0.78〜0.79米ドルで取引されていますが、ANZは9月末に0.74米ドル、年末に0.73米ドルに下落すると予想。豪ドル/円については、9月末は85円10銭、12月末は81円80銭と予想しています。

オセアニアの2通貨は、当面、マーケット全体の動き、特に米ドルの動向に左右されそうです。クロス取引の対円相場は、米ドル/円の振れによって大きく変動する可能性があります。


 [August 17, 2017 AN0103] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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