週刊2分でわかる豪・NZ

2017/08/03豪ドルの節目、AMPとゴールドマンの見方

「豪ドル高をけん制」

オーストラリアの中央銀行にあたる準備銀行(RBA)が、1日に開いた金融政策委員会で、政策金利を過去最低の1.5%に据え置くことを決めました。

豪ドル高をけん制する強い文言が声明に盛り込まれました。最近の豪ドル高についてRBAは、「価格圧力の抑制の要因になることが見込まれる。生産と雇用の見通しの重石にもなっている」との認識を示しました。

豪ドルは7月以降、上昇基調が続いていました。主要な輸出産品の銅の価格が持ち直したこと、中国経済に改善の兆しが見られること、そして、米ドル安も手伝って、豪ドルの対米ドル相場は節目の0.80ドルを突破、2年ぶりの水準に上昇しました。RBAが予想より早く引き締めに転じるとの観測も豪ドル相場を押し上げました。

しかし、RBAが通貨高を強くけん制したことを受け、豪ドルが売られました。対米ドル、クロス取引の対円相場も下落しました。

「0.80ドルが境界線?」

オーストラリアのABCは、豪ドルの対米ドル相場0.80ドルが重要な心理的な境界線だと解説しました。

AIGがオーストラリアの製造業各社を対象にした調査では、豪ドルの対米ドル相場について、0.70〜0.80ドルのレンジが「競争力が非常にある」と答えた人が79%いました。

レンジが0.81〜0.90ドルに切り上がると、競争力が高いと考える企業は38%に下がります。

ただ、農業部門に関しては、カナダ、ニュージーランド、ブラジル、そしてEUなどの農業が盛んな国、地域の通貨とほぼ同じ割合で豪ドルが上昇した場合は、影響が小さいとAIGが分析しました。

実際、豪ドルのフェアマーケットバリュー(公正価格)はどの程度か。ABCによりますと、ベータシェアズのエコノミストの試算では、豪ドルの対米ドル相場の4−6月のフェアマーケットバリューは0.76ドル。来年には0.70近くに下がる見通しだとしています。

一方、AMPキャピタル・インベストメントのアナリストは、豪ドルの対米ドル相場が0.85ドルに近づくと、RBAの通貨高への懸念が一段強くなるだろうとブルームバーグにコメントしました。

「ゴールドマンの見方」

RBAの会合前、ゴールドマンサックス・アセットマネージメントが豪ドルに関して弱気な見方を示しました。アナリストは、「オーストラリアのような小規模で開かれた経済にとって、通貨高は成長の大きな足かせになり、金融政策にも影響する」とシドニーモーニングヘラルドにコメントしました。

アナリストは、豪ドルの貿易額加重平均が年初から6.1%上昇、2014年12月以来の高水準にあると指摘。豪ドル/米ドルが0.80ドル近くでは多くの議論を呼ぶとコメントしました。

RBAの懸念表明により、豪ドルは当面、上値の重い展開が予想されます。

「NZドル安方向か」

NZドルが弱含んでいます。2日の取引ではニュージーランドの弱い雇用統計が影響しました。

RBNZは、当面、現在の政策金利を維持するとみられています。ANZは2019年までRBNZが金利を据え置く可能性があると最新のレポートでコメントしました。BNZも、RBNZが政策金利を引き上げるのは相当先だとみています。

ANZは、NZドル相場については、目先、米ドル相場の動きに左右されそうだとみています。ただ、ポジション動向、利回り格差、世界的な流動サイクルなどから、NZドル安方向になりそうだとしています。

NZドルは当面、マーケット全体の影響を受けそう。米ドル動向にもよりますが、やや軟調に推移するとの見方が優勢です。

 
 [August 03, 2017 AN0101]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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