週刊2分でわかる豪・NZ

2017/07/20動意づいた豪ドル、どこまで

「RBAとFRB」

オーストラリアの中央銀行(RBA)が18日に公表した7月の金融政策会合の議事録がマーケットの注目を集めました。

RBAは議事録の中で、オーストラリア国内の労働市場の改善、公共投資が堅調に推移、そして家計消費が上向いているとして、明るい経済見通しを示しました。

金融刺激策の巻き戻しについては慎重な姿勢を示しましたが、エコノミストの間では、次の一手は利下げではなく、利上げだとの見方が広がりました。早期利上げは期待できないが、来年後半にも利上げに踏み切るのではないかとの見方が増えました。

先週のイエレン議長の議会証言を材料に米ドルが売られました。今週は、トランプ大統領の公約である医療保険制度改革法(オバマケア)の代替案の議会審議が絶望視されたことで米ドル売りが加速しました。その一方、RBAの議事録を受けて豪ドル買いが進みました。この組み合わせで、豪ドルの対米ドル相場はチャートの節目を超えて上昇、心理的な節目の0.80米ドルに迫りました。

米ドルは対円でも売られましたが、豪ドルの勢いがより強く、豪ドル/円も高く取引されました。「中央銀行に逆らうな」との格言がウォール街にありますが、まさにそれに忠実な動きと言えます。

ところで、オセアニアの大手銀行ANZは最新のレポートで、「最近7年ぶりに利上げに踏みきったカナダの中央銀行が、RBAに何らかのシグナルとなっているか」との問い合わせを受けたと述べました。2つの中央銀行の行動に相関関係があるのは明らかだが、今回のカナダ中銀の行動がRBAの姿勢のシフトに影響したとは考えていないとコメントしました。

同じ英国圏で資源国。カナダとRBA、それにニュージーランド中銀(RBNZ)が比較されることが多いのですが、興味深いコメントでした。

「どこまで上昇するか」

オーストラリアの主要放送局ABCは、「豪ドルの上昇は、オーストラリア経済が強い証拠だと多くの人が考えている」と解説しました。2010年11月に豪ドルの対米ドル相場がパリティ(1.0)まで買われた際、金融機関のディーリングルームで「パリティパーティ」に沸いたとしています。

豪ドル安は輸出に寄与するが、豪ドル高は海外にアウトソースしている企業のコストが下がるほか、TVなど輸入品が安く買えると伝えました。

また、ABCは、米10年債の利回りが約2.3%なのに対し、豪10年債利回りは2.7%で投資妙味があるとした上で、利回りが高い豪10年債を購入するためには、豪ドルを買う必要があると説明。また、オーストラリアの最上格付け「AAA」も支えとなり、豪ドルの対米相場は0.80米ドルを超え、0.85米ドルを目指す可能性があるとする専門家の見方を紹介しました。

豪ドルに強気な投資家が目立ちます。

「NZドルの上値限定か」

豪ドルにつられる形でNZドルも堅調に推移しています。豪ドル高の主な要因の一つはRBAの見通しですが、NZドル高はマーケット全体の米ドル安基調が主要因だと指摘されています。ニュージーランドの個別要因ではないということです。

ANZは、NZドルの対米ドルでの上昇基調が弱まりつつあるとみています。ただ、アメリカの経済指標が悪化していることやトランプ大統領のロシア疑惑などで、NZドルの上昇基調が終わるまでに時間がかかるかもしれないとしています。


 [July 20, 2017 AN0099] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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