週刊2分でわかる豪・NZ

2017/07/06豪ドル、再修正された見通し

「買い占め」

4日のオーストラリアの債券市場で異変がありました。

ブルームバーグによりますと、オーストラリア政府が4日に売り出した8億豪ドル(約688億円)相当の国債を1つの法人が全て買い占めました。機関投資家1社が買いを独占したのは2013年以来。1社の買いの規模は1982年以来で最大です。

異変は、オーストラリアの中央銀行が政策金利のオフィシャル・キャッシュ・レートを予想通り過去最低の1.50%に据え置き、経済や金利の見通しに中立な姿勢を示した直後に起きました。

ECB、イングランド銀行、そしてカナダの中央銀行が最近、金融引き締めの方向を示唆しました。オーストラリアの中銀もタカ派的なスタンスを示すのではないかとの見方が強まっていましたが、これとは異なる結果になりました。

ANZのストラテジストは、「オーストラリア中銀が中立スタンスを維持したことで、長期国債の魅力が増した」とブルームバーグにコメントしました。

「豪ドル高をけん制」

オーストラリア国債の利回りが低下、豪ドルが売られました。

オーストラリア中銀の会合前は、豪ドルが「割安」との見方が投資家の間で根強くありました。弱気な短期見通しが強気方向に修正され、豪ドルが堅調に推移していました。しかし、見方がさらに変わりました。

外国為替マーケットの投資家が注目したのは2つ。FRBのイエレン議長らが「インフレ率がいずれ目標の2%に向けて上昇する」と楽観的に認識しているのに対し、オーストラリア中銀のロウ総裁は声明文でインフレ率の先行きに慎重な見方を示しました。さらに、豪ドル高をあらためてけん制しました。

オーストラリア中銀の会合を受け、利上げが当面ないとの見方が広がりました。

キャピタル・エコノミクスは、1.50%の政策金利が2018年末まで据え置かれ、利上げは2019年初め頃になると予想しています。

ANZは、少なくとも政策金利が2018年6月まで据え置かれると予想、リスクは下向きだと最新のレポートでコメントしました。

豪ドル相場については、弱気な見方が優勢です。TD証券のストラテジストは、ポンドスターリングライブに対し、豪ドルが下方向に大幅に修正される可能性があるとコメントしました。豪ドル安基調が長く続くかもしれないとしています。

「NZドルの下値堅いか」

組合最大手のフォンテラが主導する4日の乳製品オークションは低調でした。GDT価格指数が0.4%低下。2オークション連続で価格が低下しました。

弱いオークションの結果を受け、NZドルが弱含みました。中国の経済減速への懸念も影響しました。ただ、5日の取引では対米ドルで小幅反発。下値の堅さを示しました。

BKアセットマネージメントのストラテジストは、NZドルと豪ドルが弱含むと予想。ただ、NZドルの下げ幅は、豪ドルほど大きくないとみています。


 [July 06, 2017 AN0097] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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