週刊2分でわかる豪・NZ

2017/06/15GDP弱めもNZドルに楽観見通し

「去年9月のスクープ」

富士フイルムホールディングスが12日、海外の販売会社で不適切な会計処理が行われ、375億円の損失を計上したと発表しました。

このニュース、ニュージーランドのメディアが、日本企業に関するニュースとしては異例の大きさで報じました。損失のほとんどが、 富士ゼロックスのニュージーランドの販売子会社の不正会計処理によるものだったからです。富士ゼロックスは、日本の富士フイルムが75%、アメリカのゼロックスが25%出資した会社です。

きっかけは、ニュージーランドのNBRが去年9月に報じたスクープ記事でした。内部告発を受けた調査報道で、2016年3月会計年度に日本円で約40億円しか損失がなかったことを疑問視する内容でした。報道を受け、社外の弁護士などによる第三者委員会が設置されたとみられます。調査の結果、過去6年間にわたって不正会計処理が行われた実態が明らかになりました。

具体的には、富士ゼロックス・ニュージーランドの幹部報酬が業績連動型となっていたため、売上高を過大に計上できるようなコピー機のリース契約を結んでいました。

NBRによりますと、富士ゼロックスはニュージーランド最大のオフィス機器会社です。667人の社員がいます。ニュージーランドの政府機関とも多くの契約を結んでいます。

富士ゼロックスの不正会計は、ニュージーランドの議会でも取り上げられました。野党NZフォースト党のピータース党首は、「ニュージーランドに腐敗がある。過去最大の詐欺スキャンダルに発展する可能性がある」とする声明を出しました。

「トランプ特需」

ニュージーランド・ヘラルドに、アメリカのトランプ大統領がトラブル続きで、ニュージーランドの旅行者に恩恵となっているという記事を掲載しました。

トランプ氏が去年11月の選挙で勝利して以降、経済政策や財政政策への期待感で米ドルが幅広く買われました。しかし、ロシア疑惑をはじめトラブルが相次ぎ、米ドルが軟化しました。

その恩恵を最も享受したのがNZドルだとしています。アメリカの中央銀行にあたるFRBが金融引き締め、もしくは利上げ方向にあるため、今年のNZドルは対米ドルで緩やかに下落するとの見方がコンセンサスでした。しかし、その見方が変わったと指摘しています。

NZドルの対米ドル相場は現在0.72米ドル台です。ABSのアナリストは、今後12カ月は0.74米ドル近辺のNZドル高水準で推移すると予想しています。ただ、0.80米ドルに近づくとNZドル売り圧力が高まる可能性があるとしています。NZドルは、対豪ドルでも高く推移すると予想しました。

南半球のニュージーランド。いまは冬。冬休みの旅行先はハワイや北半球のリゾート地が人気です。NZドル高で旅行が安くなります。ただ、ニュージーランドの輸出業者には逆風です。

NZドルは、15日のニュージーランドの第1四半期(1-3月)GDP発表後に対米ドル、対円で下落しました。ただ、下げは限定的で、下値の堅さが意識されました。NZドルに対する強気な見方が支えたとみられます。

GDPは前期比で0.5%の増加。市場予想は0.7%増でしたが、エコノミストの予想レンジは0.1〜1.1%と幅がありました。

「豪雇用統計に注目」

今週の豪ドルは堅調に推移しています。ただ、NZドルと比べ、上昇の勢いがやや弱めです。

ANZは、最新のレポートの中で、オーストラリア政府と中銀が低インフレと高い家計債務という問題に直面していること、さらに「AAA」の格下げリスクもあると指摘しました。豪ドルについては、伸びが強まる可能性があるが、国内経済のモメンタムが欠如しているとコメントしました。

豪ドルが目先上昇する局面でも上値が限定的になる可能性があります。目先は、オーストラリアの雇用関連指標に反応しそうです。


[June 15, 2017 AN0094]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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