週刊2分でわかる豪・NZ

2017/06/08記録に並ぶ! 豪ドルに見直し買い

「ラッキーカントリー維持」

オーストラリア政府の統計局が7日発表した今年第1四半期のGDPは、前年同期比で1.7%増、前期比で0.3%増加しました。予想と一致、もしくは一部予想を小幅上回りました。

オーストラリアは1991年以来、103四半期連続で景気後退を回避したことになります。オランダが持つ世界記録に並びました。

フィナンシャル・タイムズは、「オーストラリアがラッキーカントリーを維持した」と伝えました。2400万人が資源豊富な大陸を独占、経済も強いことから「ラッキーカントリー(幸運な国)」と呼ばれていますが、外部環境の変化などで「幸運ではなくなるかもしれない」と指摘されていました。

オーストラリアの中央銀行(RBA)は、今年通期の成長率を2〜3%と予想していますが、その下限になりそうだとマーケットがみています。3月下旬にクイーンズランド州で発生した大型サイクロン「デビー」が今年前半の輸出や住宅建設に打撃となり、成長が緩やかになると考えられています。

「豪ドル上昇」

今週の豪ドルは上下に大きく振れました。

週初めは、サウジアラビアなど中東数カ国がカタールとの国交を断絶したことに反応しました。カタールは主要な産油国ではありませんが、主要な天然ガスの輸出国。カタールの輸出が打撃を受け、天然ガスが豊富なオーストラリアに恩恵となるとの思惑が豪ドル相場を押し上げました。対米ドル、対円で目立って上昇しました。

6日に発表されたオーストラリアの経常赤字が予想以上に拡大したことが嫌気され、豪ドルが大幅に反落しました。しかし、オーストラリア中銀が政策金利を据え置き、やや楽観的な見通しを示したことで買い戻されました。ジェットコースターのような展開でした。

第1四半期のGDPが弱いとの予想が少なくありませんでしたが、それほど弱くなかったことで、豪ドルは一段高になりました。対米ドル相場は1カ月ぶりの高値に上昇しました。クロス取引の対円相場も高く取引されました。

BKアセットマネジーメントのストラテジストは、豪ドルの対米ドル相場が節目の0.755米ドルを一時超えて買われたと指摘。アメリカの10年債利回りが一段低下した場合、豪ドルが対米ドルで0.77米ドルまで上昇する可能性があるとコメントしました。

過去1カ月、豪ドルに弱気な見方が広がっていました。ANZやNABは、引き続き緩やかな豪ドル安が進むとの見通しを変えていませんが、目先は堅調に推移する可能性がありそうです。15日発表のオーストラリアの雇用関連指標が材料視されています。

「NZドルは安定」

振れが大きい豪ドルと比べ、NZドルは落ち着いています。堅調に推移。経済指標が安定して強く、今週実施された主力輸出品である乳製品のオークションで価格指数が上昇しました。6オークション連続の価格上昇、乳製品価格が低迷した去年と比べ大きく改善しました。

ニュージーランドの中央銀行は7日、9月から半年間の金融政策目標について、2012年に定めた目標を据え置くことでジョイス財務相と合意しました。消費者物価指数の上昇率を1〜3%とする目標を維持します。中銀のウィーラー総裁が9月26日に退任しますが、後任もこれまでの金融政策を維持すると予想されています。

NZドルは当面、堅調に推移するとの見方が優勢です。豪ドルが見直されましたが、NZドルのパフォーマンスが上回ると予想されています。BNZは、目先はやや不透明感があるものの、中期的にはNZドルの対豪ドル相場がパリティ(1.0)まで上昇すると予想しています。当面の注目はニュージーランドのGDP(15日)です。


 [June 08, 2017 AN0093] 

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.05.16 更新総選挙が動かす豪ドル「野党優勢」オーストラリアの総選挙が18日、次の土曜日に実施されます。定数151の下院の全議席と、定数76の上院の約半分の議席が改選されます。モリソン首相率いる…
  • 2019.05.09 更新NZ利下げ、豪は据え置き、相場展開どう見る「予想通りの0.25%引き下げ」ニュージーランドの中央銀行である準備銀行(RBNZ)は8日、政策金利のオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を25ベースポイン…
  • 2019.04.25 更新レンジ下限に達したNZドル、急落した豪ドル「休暇モード」    日本では来週から大型連休。オセアニアでは一足早く10連休が訪れました。事実上の連休ですが。先週金曜日はイース…
  • 2019.04.18 更新豪ドルとNZドル、下げは一時的?「年内2回利下げか」オーストラリアの中央銀行にあたる準備銀行(RBA)が16日に公表した4月2日の理事会議事録は、近い将来の政策金利引き下げを示唆するハト派的な…
  • 2019.04.11 更新豪ドル、5月18日にらんだ思惑「IMFの下方修正」国際通貨基金(IMF)が9日、世界経済の2019年の成長率見通しを3.3%に引き下げました。1月時点の見通しから0.2ポイントの小幅な下方修…

「週刊2分でわかる豪・NZ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ