週刊2分でわかる豪・NZ

2017/05/18豪ドルに暗雲

「4週続落」

豪ドル相場が冴えません。米ドル/円相場の影響を受けるクロス取引の豪ドル/円ではわかりにくいのですが、豪ドルの対米ドルの下落基調が鮮明です。週間ベースで先週末まで4週連続で下落しました。主要国(G10)の10通貨の中で、最悪のパフォーマンスです。

ブルームバーグは、「ヘッジファンドが豪ドルをあきらめた」と伝えました。3月はじめに5万3601あった豪ドルの対米ドルのロング(買い)ポジションが6週連続で減少し、5月9日には1万2879になったとしています。

オーストラリアの主力輸出品である鉄鉱石の価格の下落基調が背景だと解説しました。最大の輸出先である中国の鉄鉱石の在庫が積み上がっていることへの懸念が、豪ドル相場を押し下げています。

さらに、アメリカの中央銀行にあたるFRBが6月にも追加利上げするとみられる一方、オーストラリアの中央銀行(RBA)は低金利を長期にわたり維持する方向。金利格差が縮小傾向にあることも豪ドル売りを誘っています。

クレディ・アグリコルのストラテジストは、オーストラリアの経常黒字を受けて豪ドル売りが一服したが一時的で、コモディティ価格の下落が続けば豪ドルがさらに売られるだろうとブルームバーグにコメントしました。

「AAA維持」

RBAが16日に公表した5月の金融政策委員会の議事録では、軟調な労働市場と高水準な家計債務に関する懸念から政策金利を据え置いたことが明らかになりました。RBAは5月の会合で、政策金利を過去最低の1.5%に据え置くことを決めました。今後は、雇用、特に賃金の伸びと家計債務の動向に注目が集まりそうです。

一方、S&Pは今週、2022年までに財政黒字化を目指すオーストラリア政府の予算案を受け、最高格付けのAAAを維持すると発表しました。ただ、見通しを示すアウトルックはネガティブに据え置きました。マーケットの予想通りでした。

「見通し修正」

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は15日付のレポートの中で、豪ドルの見通しを豪ドル安方向に修正しました。6月末の豪ドルの対米相場の見通しを従来の0.75米ドルから 0.73米ドルに変更しました。9月末は0.71米ドルとしています。対円相場については、6月末が83円、9月末は82円と予想しました。

「緩やかな下落予想」

NABは、NZドルの見通しについてもNZドル安方向で修正しました。ニュージーランドの中央銀行(RBNZ)の見解がマーケットと一致しておらず、NZドルに対する信頼を失ったとコメントしました。NZドルの対米ドル相場は6月末が0.68米ドル、9月末は  0.67米ドルと予想しました。

一方、ANZも緩やかなNZドル安を予想しています。ニュージーランド経済が堅調で、NZドルの下落基調が一段と強まることはないが、緩やかな下げが続くだろうと最新のレポートでコメントしました。

酪農家の最大の組合フォンテラが主導した16日の乳製品オークションは堅調でした。GDT価格指数が3.2%上昇しました。5オークション連続の上昇。フォンテラが来季の価格を近く引き上げるとみられています。

乳製品はニュージーランドの主力輸出品。鉱物が主体のオーストラリアと異なります。鉄鉱石をはじめコモディティ価格の下落が続けば、NZドルより豪ドルの下げがきつくなりそうです。ただ、両通貨とも、当面は、海外、特にアメリカの政局、それを受けたマーケット全体の動きに左右されるとの指摘があります。

アメリカの政局混迷で相場が荒い展開になっています。特に、米ドル/円の振れが非常に大きく、クロス取引である豪ドルとNZドルのそれぞれの対円相場が影響を受けることが予想されます。

 
[May 18, 2017 AN0090]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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