週刊2分でわかる豪・NZ

2017/05/11予想外にハト派だったRBNZ、豪政府は通貨安の恩恵も

「インフレが予想を下回る」

ニュージーランドの中央銀行(RBNZ)が11日の金融政策委員会で、オフィシャル・キャッシュ・レートと呼ばれる政策金利を1.75%に据え置きました。予想通りでした。

声明は予想外でした。RBNZは、声明の中で、NZドルの貿易加重平均レートが2月以来およそ5%下落したことに勇気付けられると述べました。ただ、金融政策については、不確実要因があるため、相当の間、緩和を維持すると説明しました。一部で期待された近い将来の利上げを示唆する表現はありませんでした。

さらに、前倒しされると一部で予想されていた利上げ時期の見通しは、2019年第3四半期に据え置かれました。

インターネットで一般公開された記者会見の中でウィーラー総裁は、インフレ率が長期にわたり目標の2%を下回ると予想しました。そのうえで、緩和スタンスを継続する方針を明確にしました。利上げ見通しを修正しなかったことに関する質問に対しては、「不確実要因が多い」「日米独などでも賃金の強い伸びが確認できない」と述べました。

NZドルは、声明とウィーラー総裁の会見を受けて大幅に下落しました。対米ドルで0.68米ドル台前半まで売られました。対円では78円を割りました。

「ウィーラー総裁のスタンスは2月から全く変わっていない」との見方が広がりました。ANZのエコノミストは、「予想していたより明らかにハト派的だった」とニュージーランド・ヘラルドにコメントしました。

「豪ドルが救う?」

オーストラリアのターンブル政権は9日、今後10年でインフラ整備に750億豪ドル(約6兆円)を投じる計画を発表しました。資源ブームが終わったオーストラリア経済を、サービス業がけん引する成長に導くことが狙いです。

今年2月にシドニーを訪問した際、インターネットの速度の遅さが気になりました。携帯電話のデータ速度も非常に遅い。経済の優等生とされるオーストラリアですが、デジタル化が意外に進んでいません

モリソン財務相は予算案に関する議会演説の中で、鉄道や滑走路、道路の構築のほか、通信網の整備にも投資することを選択すると述べました。「国をつくり直す」との強い意気込み。ターンブル首相は投資銀行出身ですが、元バンカーらしく、インフラ整備に民間資金を積極的に活用する方針も表明しました。

予算案には、大手銀行に新たな課税をすることも含まれました。追加コストは、最終的に消費者が負担する可能性があります。また、2021年に財政黒字に転じる方向も示しましたが、「不十分」との批判もあります。S&Pがオーストラリアの格付け見通しを「ネガティブ」にしていますが、最上級のAAAを失う可能性があるとの見方が一部で再燃しました。近く発表される可能性があり、豪ドル相場に影響しそうです。

予算案について、オーストラリアの主要放送局ABCは、「非常にチャンレンジングな予算案だが、秘密兵器がある」と解説しました。

秘密兵器は豪ドル。ABCは、「世界でも最も変動が激しい通貨の一つである豪ドルが、今後も中国経済の減速など深刻な海外要因の影響を受けるだろう」と解説しました。2008年の金融危機の際は、豪ドルの対米ドル相場が1.10米ドルから 0.65米ドルへわずか6週間で下落したとしています。そのうえで、通貨安が進めば輸出が増える、中央銀行が緩和することなく景気を刺激する可能性があると伝えました。

豪ドルは中期的に緩やかに下落するとの見方が優勢です。短期的には、コモディティ相場、マーケット全体の影響を受けそうです。クロス取引の対円相場については、米ドル/円の振れが大きくなっていることもあり、その影響で変動する可能性があります。


 [May 11, 2017 AN0089]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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