週刊2分でわかる豪・NZ

2017/04/27日本消えて南ア入る、避けられる資源国通貨

「意外な統計」

1月末にニュージーランド最大都市のオークランドを訪れた際、中国人の多さにあらためて驚かされました。中心部の不動産会社の広告は、中国語での表記が目立ちました。チャイニーズ・レストランも増えていました。

中国人の入国者がすごいことになっているのではないか。筆者だけではなく、ニュージーランド人もそう思っていました。

ニュージーランド政府の統計局が26日発表した移民等に関する統計は意外でした。トップ5に中国人が入っていない。地元メディアもアジアからの労働者が思ったより増えていなかったと伝えました。

今年2月末までの1年間でビザ(査証)を取得してニュージーランドに入国した外国人の数は4万1576人でした。2004年の2倍半、2010年の2倍強です。最も多かったのはイギリス人で6982人。ドイツ人が2位、オーストラリア人が続きます。

4位には、意外にも南アフリカ人が入りました。2004年は全体の2.5%にすぎませんでしたが、2016年は6.5%に増えました。僅差でアメリカ人が5位。トップ5のほとんどは白人です。企業から派遣された赴任者および家族とみられます。

ちなみに、労働ビザを所得してニュージーランドに入国した日本人は、2004年に2383人で全体の2位でした。それが2010年に1007人に減り5位。そして2016年はトップ5から外れました。

移民数は年7万1900人に増えました。ニュージーランドの人口は2019年に500万人に達すると予想されています。

ところで、ニュージーランドの統計では実態が把握できないことがあります。例えば投資額。オーストラリアからの投資が1位。しかし、JETROオークランド事務所の林所長は、「中国企業などの多くがオーストラリアを経由して投資するので実態はわからない」と話しています。

移民と非移民統計では、オーストラリア人が全体の3位に入っていますが、実際には統計以上のオーストラリア人が居住、仕事をしているとみられます。豪NZの2カ国間協定で、オーストラリア人は原則としてビザ無しで労働できるからです。オーストラリア国籍を持つ中国人もいるかもしれません。

「売られたNZドル」

NZドルが今週、安く推移しています。恐怖指数が低下、リスク選好ムードが強い局面でもNZドルは軟調でした。

バンク・オブ・ニュージーランドは、マーケットメモの中で、投資家が資源国通貨を避けているとコメントしました。アメリカのトランプ政権がカナダ産の木材に平均20%の関税を課す方針を表明、乳製品についても批判しています。また、OPECの減産合意に懐疑的な見方が強まり、原油相場が下落基調になっていることも影響しています。

オーストラリアもトランプ政権の保護主義的な政策の影響を受けると懸念されています。ただ、ニュージーランドは経済規模が小さく、自由貿易に大きく依存しているため、NZドルは豪ドルよりも打撃を受けると指摘されています。NZドルの対豪ドル、対カナダドル相場がそれぞれ下落基調にあることがそれを示しています。

NZドルは目先、トランプ政権の通商政策、そしてコモディティ価格に左右されそうです。クロス取引の対円相場は、米ドル/円の振れがやや大きいので、その影響を大きく受けることが予想されます。

「豪ドルも軟調」

26日の取引で豪ドルが大幅安で推移しました。全体的な資源国通貨売りが影響しました。また、オーストラリアの第1四半期の消費者物価指数が予想を下回ったことが材料視されました。政策金利が当面据え置かれるとの観測が強まりました。

豪ドルの対米ドル相場は節目の0.75米ドルを割りました。一部のストラテジスト、エコノミストらは緩やかな豪ドル安を予想していますが、それを下回る水準まで売られています。例えば、ウエストパックは、6月末の豪ドルの対米ドル相場が0.76米ドル、9月末は0.75米ドルと予想しています。

政策金利据え置き見通しが、当面の豪ドルの上値を抑える可能性があります。また、NZドルと同様に、コモディティ価格の影響を引き続き受けそうです。特に、主力輸出品の鉄鉱石価格に左右されると指摘されています。


 [April 27, 2017 AN0087]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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