週刊2分でわかる豪・NZ

2017/04/13リスクオフとNZドル

「シリアと北朝鮮」

今週の世界のマーケットでは、リスクを強く意識した展開が続いています。シリアと北朝鮮をめぐる動きが活発で、地政学リスクが相場に影響しました。

シリアに関しては、アメリカのトランプ政権が攻撃に踏み切ったことで、ロシアのプーチン政権との関係が悪化しました。アメリカのティラーソン国務長官がモスクワを訪問、12日にラブロフ外相に続いてプーチン大統領と2時間近く会談しました。意見の不一致が際立ちました。米ロの信頼関係が冷戦後の最低レベルに低下したと考えられています。

米ロは、北朝鮮問題でも意見を交換しました。ロシアは、アメリカが北朝鮮に対しても武力行使に動くことを警戒しています。トランプ大統領が「単独でも行動する」と繰り返し主張。トランプ大統領は、フォックス・ビジネスのインタビューの中で、原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島近辺に派遣したことを明らかにしました。

北朝鮮問題をめぐり、中国もアメリカの動きを警戒しています。習近平国家主席がトランプ大統領に電話し、慎重な行動を求めたほどです。

外国為替マーケットでは、「逃避の円買い」が加速しました。イースターを次の日曜日に控えた今週は、マーケット参加者が少なく薄商い。これも振れを大きくしています。

「リスクオフ」

ニュージーランドとオーストラリアの主要メディアも、シリアと北朝鮮の問題、米ロの緊張、米中関係を連日大きく伝えています。特に、最大の貿易相手国の中国が絡む北朝鮮に関する報道が大きく、関心の高さを示しています。

リスク回避ムードが強まることを「リスクオフ」、反対にリスク選好ムードが高まることを「リスクオン」と呼びます。金融用語です。前者の場合、外国為替マーケットでは、安全資産とされる円やスイスフランが買われ、上昇する傾向があります。ユーロや英ポンドなどが売られやすくなります。

NZドルと豪ドルは、リスクオフの場合、売られる傾向があります。先週末から軟調な展開が続いているのは、地政学リスクの影響が大きいと指摘されています。円や米ドルなどで調達した資金を投資するキャリートレードが巻き戻されるとの思惑が相場に影響しました。

特に、クロス取引であるNZドルの対円相場の下げが目立ちます。豪ドルに比べて流通量と取引量が少ないこともあって、振れ幅が大きくなっています。

過去10年のNZドル/円の動きをみると、リスクオフとリスクオンに大きく左右されていることがわかります。2007年前半にNZドルの対円相場が100円ちょうど目前まで上昇しました。しかし、2008年のリーマンショックを受けたリスクオフで、40円台まで急落しました。2009年以降の世界の景気回復を受けたリスクオン局面では再びNZドルが買われました。

NZドルの対円相場は12日の取引で、75円台後半まで下落しました。多くのストラテジストの見通しを大幅に下回る水準です。例えば、大手銀ANZは、NZドル/円が今年6月末以降から年末まで四半期ごとに、80円50銭、79円40銭、78円20銭と緩やかにNZドルが下落すると予想しています。「NZドルが売られすぎ」と一部のアナリストが指摘するほど、NZドル安が進みました。

北朝鮮、それに絡む中国の動きが、当面のNZドルに大きく影響しそうです。連動して動くパターンが多い豪ドルも同様ですが、NZドルの振れがより大きくなる可能性がありそうです。


[April 13, 2017 AN0085] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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