週刊2分でわかる豪・NZ

2017/03/09米・豪の金利が逆転する日

「ワイキキビーチ」

年始にハワイを訪れた際、オーストラリア人の観光客が非常に多いことに気がつきました。アメリカ人かと思っていたビーチで寝そべる白人女性。アクセントですぐにわかりました。こんな英語を話す人はアメリカにはいない。一瞬日本人かと思ったアジア系の家族の会話からは、家族がシドニーに住んでいることがわかりました。

オーストラリア政府の統計局によりますと、オーストラリア人の海外渡航者は、2005年から2015年の間に460万人から920万人に倍増しました。渡航先で最も多いのは隣のニュージーランド。地理的に近いインドネシアが続きました。そして3位はアメリカ。過去10年で147%も増えました。

オーストラリアのメディアは、豪ドル高が続いたこと、基軸通貨の国であるためトラベル・マネー・カード(トラベラーズチェックに代わるカード)が幅広く使えることでアメリカは常に人気があると伝えています。去年以降、豪ドルの対米ドル相場が弱含みましたが、アメリカ、特にハワイの人気は変わりません。先月、シドニーを訪れた際、市中心部に多数点在するフライト・センターという旅行代理店がハワイ行きチケットを積極的に宣伝していました。驚くほど安い。便数が多いのだと思います。

「豪ドル軟化」

今週に入り豪ドルの対米ドル相場が軟調に推移しています。背景には、アメリカの中央銀行であるFRBが来週15日の会合で政策金利を引き上げるとの観測が急速に広がったことがあります。

これまで豪ドルを支えたのは、中国経済の高い経済成長を背景にした鉱山ブームです。オーストラリアの金利水準が主要国の中で最も高水準だったことも豪ドル相場を押し上げました。金利水準が低い米ドルで調達した資金を高金利国の金融商品に投資するキャリートレードが活発になり、豪ドル相場を支えました。

しかし、中国政府は成長見通しを引き下げるなど陰りが見えます。また、アメリカの金利先高感が鮮明になりつつあり、「米ドルのキャリートレード」が逆戻りする可能性が高いです。すでに始まっているとの指摘もあります。

NAB(ナショナル・オーストラリア銀行)の見通しでは、オーストラリアの政策金利は今年末に1.25%に低下します。一方、FRBの年末の政策金利見通しは1.50%に上昇、米豪の金利水準が逆転します。またNABは、豪10年国債の年末の利回りを2.70%と予想、米10年債利回りは2.50%になると見ています。あくまでも今週時点の予想。米10年債利回りがすでに2.50%を超えて上昇していることから、NABの見通しがいずれ修正されると思います。

いずれにせよ、高金利通貨としての豪ドルの魅力が低下傾向にあることは事実。NABを含め主要な銀行のエコノミストやストラテジストがゆるやかな豪ドル安を予想していますが、米豪の金利逆転見通しが背景の一つになっています。

ワイキキビーチで日光浴するオーストラリア人が減り、北海道でスキーを楽しむオーストラリア人が増えるかもしれません。

「NZドルも下落基調」

豪ドルと同様に、このところNZドルが安く推移しています。対米ドルで節目の0.70ドルを割って取引されています。7日に実施された乳製品のオークションが低調だったことを受け軟調だったNZドルですが、強いADPの全米雇用報告を受けた米ドル買いで一段安になりました。クロス取引の対円相場も下落しました。

ニュージーランドの金利水準はオーストラリアより高めですが、こちらもアメリカの金利先高感の影響を大きく受けそうです。キャリートレードの巻き戻し観測がNZドルにネガティブに影響そうです。

 
[March 09, 2017 AN0080]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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