週刊2分でわかる豪・NZ

2017/03/02豪政府、トランプ大統領に続け

「国際競争力」

オーストラリアの財務相が27日、上院で法人税引き下げの重要性を力説しました。

2015年以降、オーストラリアでは法人税引き下げが何度も議論されましたが、実現しませんでした。ただ、今回は必死です。

きっかけはアメリカでトランプ大統領が誕生したこと。35%の法人税を最大で15%まで引き下げると公約し、選挙で予想外に勝利しました。2月28日の議会での施政方針演説でも減税を経済政策の柱の一つにすることを強調しました。

一方、今月中にもEU離脱を通知するイギリス政府は、現行20%の法人税を17%に引き下げる方向です。金融機関は対象外ですが、ブレグジット(イギリスのEU離脱)後も低い法人税で外国企業の大陸への移転を食い止めたい考えです。

オーストラリアの財務相は、「法人税を引き下げるのは、イギリスとアメリカが法人税を引き下げるからだ」と説明しました。このままでは、オーストラリアの国際競争力が低下するとしています。 メイ首相とトランプ大統領に続け、というのがターンブル政権の思い。法人税を現行の30%から25%に引き下げたい考えです。

過去の議論では、法人税を引き下げた場合の税収の確保が問題になりました。今回も同様の疑問が投げかけられましたが、地元の報道をみる限り、上院をうまく説得できたかどうかは疑問です。税収減による財政悪化は、最高格付けAAA(トリプルA)の引き下げを招くとの懸念もあります。

「予想超えたGDP」

オーストラリアの連邦統計局が3月1日に発表した去年第4四半期(10-12月)のGDPが、前期比で1.1%増加、前年比では2.4%増えました。いずれも予想を上回りました。

オーストラリアの第3四半期がマイナス成長だったため、今回のGDPは大きな注目を集めました。2四半期連続のマイナスは、リセッション(景気後退)を意味しますが、それを回避した格好です。オーストラリアは、102四半期連続、つまり25年以上に渡り景気後退を経験していません。優等生です。

鉄鉱石などの資源の輸出が増加したほか、消費者や政府の支出が拡大したことが寄与しました。特に最大都市シドニーの中心部の経済の寄与度が大幅でした。先月、シドニーに短期滞在しましたが、確かに活気がありました。ショップもレストランも大混雑。ステーキ屋さんではかなり待ちました。

強いGDPを受けてオーストラリア中銀の追加利下げ観測が後退、トランプ大統領の経済政策への期待を背景にしたリスク選好ムードも追い風となり、豪ドルは高く推移しました。

ただ、オーストラリアドルの上昇には限界があるとの見方があります。ANZは最新のレポート中で、下値は保たれるだろうとしながらも、オーバーシュートしている可能性があるとコメントしました。短期的に下落するかもしれないとしています。

NZドルについてANZは別のレポートの中で、積極的に買う材料も売る理由もなく、レンジで推移すると予想しました。

ニュージーランドの中央銀行のウィーラー総裁は、3月2日のオークランドでの演説の中で、政策金利を引き上げることも、引き下げることもあると述べました。中銀の金融政策の方向が中立であることを強調しました。

豪ドルとNZドルは、いずれも対米ドルでは比較的小動きです。ただ、クロス取引の対円については、トランプ大統領の政策やFRBの金融政策をめぐり米ドル/円のボラティリティが高くなっているため、大きく振れる可能性がありそうです。


 [March 02, 2017 AN0079]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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