週刊2分でわかる豪・NZ

2017/02/09豪ビリオネアが「和牛」を、対照的な中銀

「ジナ・ラインハート」

シドニーで先週「オージービーフ」を食べました。確かに美味しい。普通のオーストラリア産ビーフで、特別なものではありません。特別なものって?

オーストラリアでもっとも高級なビーフは「wagyu(和牛)」です。「和牛」と言っても日本産ではありません。日本で飼養された牛は「国産牛」と表記される一方、外国産「和牛」が多く存在することをご存知ですか。アメリカで広く売られている高級肉の「Kobe Beef(神戸牛)」はアメリカ産。そして、日本国外で最大の和牛の生産地はオーストラリアです。赤ワインを飲ませた和牛がオーストラリア西部で飼育されています。

豪ABCは、オーストラリアでもっともリッチな女性、ビリオネアのジナ・ラインハートさんが、「2GR」というブランドをつけた豪産和牛の中国への輸出を開始したと報じました。北京と上海の最高級レストラン向けに輸出を積極的に拡大する計画だそうです。

オーストラリアと中国の間で、2015年12月に自由貿易協定(FTA)が発効しました。2020年までの5年間に関税が段階的に引き下げられます。オーストラリアは、鉄鉱石や石炭などを中国に大量輸出していますが、FTA発効を受け、今後は農産物の輸出増が期待されています。

NABは、7日付けのレポートの中で、オーストラリアの高品質の農産品が中国に大量に輸出されることが予想されるとして、「ゲームチェンジャー」になるとコメントしました。当然ながら景気にポジティブ。

「10日のRBA見通しに注目」

オーストラリアの中央銀行(RBA)は、7日に開いた金融政策委員会で、キャッシュレートと呼ばれる政策金利を過去最低の1.50%に据え置きました。ロウ総裁は声明で前向きの経済見通しを示しました。先週、RBAのエコノミストにシドニーの本部で面談しましたが、声明の内容は彼女の発言と一致していました。

RBAの決定を受けた民間エコノミストのコメントが出揃いました。いずれも、RBAが当面、政策金利を据え置きそうだというものでした。利下げサイクルが終わったという見方が優勢でした。

ANZのチーフエコノミストのフィリシティ・エメットさんは「2018年末まで金利が据え置かれる」と予想。RBAが10日に公表予定の経済見通しが重要だと話しています。予想通り金利を据え置いた会合より、10日の見通しの方が豪ドル相場に影響しそうです。

ANZは、豪ドルの対米ドル相場が目先、狭いレンジを抜けて0.78米ドルまで上昇する可能性があると見ています。ただ、中期的には緩やかに豪ドル安が進むと予想しています。

「慎重だったRBNZ」

ニュージーランド中銀(RBNZ)は9日、オフィシャルキャッシュレートと呼ばれる政策金利を1.75%で据え置きました。予想通りだったのですが、声明は予想外に慎重なトーンでした。明るいトーンだったRBAの声明とは対照的でした。

RBNZのウィーラー総裁は、声明の中で、通貨が依然として高いと懸念を表明、NZドルのレートが下がる必要があるとコメントしました。声明は、「金融政策は一定期間にわたり緩和を継続する。不透明な要素が依然としてあり、特に海外の見通しが不透明で、政策を調整する必要があるかもしれない」と締めくくられています。追加利下げの可能性を示唆したものと受け取れます。

マーケット関係者は「今年9月にもRBNZが利上げする可能性がある」と見ていただけに、慎重なトーンの声明がサプライズとなり、NZドルが売られました。今後、エコノミストが見通しを修正する可能性がありそうです。


[February 09, 2017 AN0076] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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