週刊2分でわかる豪・NZ

2017/01/12トランプに恩恵を受けるNZ? NZドルは会合待ちか

「トランプ会見受けNZドル堅調」

11日のニューヨークマーケットで、NZドルが対米ドルで上昇、一時1カ月ぶりの高値をつけました。アメリカのドナルド・トランプ次期大統領による選挙勝利後の初の記者会見を受け、NZドル買いが進みました。

記者会見の時間の多くが、ロシアのハッキング問題に割かれました。マーケットが期待していた減税や大型の公共投資に関する具体的な言及がなく、失望を誘いました。NZドルの対米ドル相場は節目の0.70米ドルを超えて上昇しました。

「トランプとブレグジットが恩恵」

ブリュッセルを訪れているニュージーランドのイングリッシュ新首相が11日、EUのユンケル委員長らと会談しました。一連の会談で、イングリッシュ首相は、ニュージーランドとEUの自由貿易協定が早期に締結できそうだとの感触を得ました。

イギリスが国民投票でEU離脱を決め、アメリカの大統領選で保護主義を掲げるトランプ氏が勝利したことを受け、EU内に危機感が高まりました。ブレグジット(イギリスのEU離脱)とトランプ大統領の誕生を受け、ニュージーランドとの協定の重要度が高まりました。

ニュージーランド・ヘラルドは、トランプ勝利とブレグジットが結果的にEUとの自由貿易協議を加速させることになる可能性があると伝えました。自由貿易協定をめぐる協定は10年近くかかることがザラですが、2、3年で締結まで進む可能性が出てきました。問題になる農業問題もすんなり解決するかもしれません。トランプ勝利の予期せぬ恩恵と言えそうです。

「利上げ時期」

国内経済が比較的堅調なニュージーランドでは、中央銀行(RBNZ)の利下げサイクルが終了したとの見方が優勢です。政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)が今後2年で現行の1.75%から2.75%まで計1%引き上げられるとの見方が多くあります。

ただ、引き上げに転じるタイミングについては見方が分かれています。民間銀行のバンク・オブ・ニュージーランド(BNZ)によりますと、マーケットは、今年11月に最初の利上げがあることを織り込んでいます。一方、ANZは最初の利上げのタイミングは2018年6月と予想しています。

利上げ時期をめぐる観測が、当面のNZドル相場に影響することが予想されます。RBNZは2月9日に金融政策委員会を予定していますが、声明で何かしらのサインを示すかが注目です。将来の利上げを見込んだNZドル高が経済に悪影響を及ぼす懸念もあり、RBNZは慎重に言葉を選ぶと思われます。それまでは、NZドルはレンジで推移するとの見方が優勢です。

「堅調な豪ドル」

10日の欧米の外国為替マーケットでは、豪ドルが主要通貨の中で最も上昇した一方、NZドルのパフォーマンスが最悪でした。目立った材料がないのに非常に興味深いとBKアセットマネージメントのストラテジストがコメントしました。ポジション調整、利益確定のNZドル売りが影響した可能性があります。いずれにせよ、同じ動きをすることが多かった豪ドルとNZドルは、このところ異なる動きをするケースが多いように思います。

主力輸出品の鉄鉱石、石炭の価格上昇を背景に豪ドルはこのところ堅調に推移しています。ただ、上昇基調にあるとの見方はなく、当面はレンジで推移すると予想されています。注目は2月7日に予定されているオーストラリア中銀(RBA)の金融政策委員会です。

 
[January 12, 2017 AN0072] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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