週刊2分でわかる豪・NZ

2019/04/18豪ドルとNZドル、下げは一時的?

「年内2回利下げか」

オーストラリアの中央銀行にあたる準備銀行(RBA)が16日に公表した4月2日の理事会議事録は、近い将来の政策金利引き下げを示唆するハト派的な内容でした。

議事録は、インフレ率が低水準にとどまっているため、短期的に金利引き上げが必要になるシナリオは可能性が低いと指摘しました。前回の議事録と比べ、一歩踏み込んだ内容でした。

議事録はその上で、家計債務が増え、不動産価格が下落しているため、金利引き下げの効果はこれまでよりも小さいとの認識を示しました。それでも、利下げにより為替レートが下落し、借り入れ金利が低下することで景気の下支え効果が期待できると言及しました。

シドニー・モーニング・ヘラルドは、エコノミストの間で利下げ見通しがさらに増えたと伝えました。

ウエストパックのエコノミストは、RBA議事録が利下げを明確に示唆したとして、今年8月と11月に利下げがあると予想しました。JPモルガン証券オーストラリアのエコノミストは、今年7月以降にRBAが利下げに転じ、年内に合計で0.50%利下げするとみています。

一方、コモンウェルス銀行のエコノミストは、理事会があった4月2日の時点では、1000万人の労働者に恩恵となる減税を含む政府予算案が発表されていなかったと指摘。減税は今後2年で0.50%の利下げと同様の景気浮揚効果が期待でき、RBAが今年と来年、政策金利を据え置くと予想しました。最近発表された小売売上高、建設許可件数、消費者信頼感指数がいずれも堅調だったとしています。

RBA議事録を受け、豪ドルが一時売られました。ただ、17日の取引では安定しました。利下げが相場に織り込まれたとの見方が少なくありません。目先は、豪経済指標や5月18日の総選挙をめぐるニュースに敏感になる可能性があります。米中貿易協議の行方も引き続き豪ドルを動かす材料になることが予想されます。

ANZは、豪ドルの対米ドル相場が来年3月まで1豪ドル=0.70米ドル近辺で安定して推移すると予想。クロス取引の対円相場については、米ドル安・円高が進むと予想していることを反映し、年末が1豪ドル=75円60銭、来年3月末は73円50銭とみています。

「RBNZもハト派」

RBAが議事録を公表した16日、ロイターがニュージーランド中銀(RBNZ)のオア総裁のインタビューを配信しました。

この中でオア総裁は、金融政策の緩和的なバイアスは当面続くとの見通しを示しました。世界経済の状況を背景にハト派的な姿勢に転じたと説明。NZドル相場については「好ましい水準にある」と述べ、現在のレートに不満を抱いていないことが示されました。

こうした中、ニュージーランド統計局が17日発表した第1四半期(1-3月)の消費者物価指数(CPI)は前期比0.1%の上昇にとどまりました。RBNZの予想が0.2%、民間エコノミストの予想中央値は0.3%でした。いずれも下回ったことになります。

弱いCPIを受け、マーケットでは5月8日の会合での利下げ観測が高まりました。それまでは年後半の利下げ予想が優勢でした。NZドル売りを誘い、対米ドルで一時0.66台まで下落しました。対円では一時1NZドル=74円台まで売られました。ただ、その後に落ち着きました。

豪ドルと同様に、NZドル相場は中銀の利下げを織り込んだとの見方があります。ただ、利下げ時期については見方が分かれています。

バンク・オブ・ニュージーランドは最新の見通しで、NZドルの対米ドル相場が中期的に1NZドル=0.6650〜0.6950のレンジで推移すると予想しました。対円相場については、中期的に緩やかにNZドル安が進むと予想。ただ、年末は1NZドル=72円〜79円のレンジの中間に近い76円と、現在とほぼ同じ水準になるとみています。

イースターを週末に控えていることから、来週初めまで薄商いが予想され、NZドルと豪ドルの相場がこう着する可能性もあります。

 [April 17, 2019 AN0188] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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