週刊2分でわかる豪・NZ

2019/01/10豪ドルとNZドル、アナリストはこう見る

「一時急落後に落ち着く」


年明け3日に発生した米ドル/円のフラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)。流動性が著しく低下したことで振れが極端に大きくなりました。豪ドル相場にも波及。対円では一時71円台半ばに急落、9年半ぶりの安値をつけました。流動性が回復した後は、豪ドルは安定して推移しています。


9日に発表されたオーストラリアの住宅着工件数と建設許可件数はいずれも弱かったのですが、豪ドルが売り込まれることはありませんでした。米中の貿易協議への期待感、リスク選好ムードが豪ドルを下支えしたと指摘されました。


2018年の豪ドルは下落基調が鮮明でした。対米ドル相場は0.80米ドル台から0.7米ドル台前半に沈みました。最大の貿易相手国である中国の経済減速、シドニーなど大都市圏を中心にした住宅価格の大幅下落、FRBとRBA(豪中銀)の金融政策の方向の違いと利回り格差の拡大などが影響しました。


中国の減速や住宅市場の低迷は新年になっても変わりませんが、相場にほぼ織り込まれていると指摘されています。金融政策については、FRBのパウエル議長が最近になって利上げに慎重なハト派にシフト、金融政策の方向の違いは豪ドルのネガティブ要因でなくなりつつあります。


2019年の豪ドルはどう動くか。中立、もしくは小幅上昇するとの予想が優勢です。


「ABCの聞き取り調査」


オーストラリアの主要放送局であるABCは、国内の金融機関の外国為替アナリストに2019年の豪ドル相場について聞き取り調査をしました。その結果、豪ドルの対米ドル相場をほぼ中立と考えていることがわかりました。年末の水準は現在より小幅に高いとの予想が優勢でした。


ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は、年末の豪ドルの対米ドル相場は0.75米ドルと予想しました。現在は0.72米ドル近辺で推移しているので、小幅に上昇するとの見通し。ただ、NABのエコノミストは、上昇基調に転じる前に一旦弱含むと予想。0.70米ドルを割ることもあるかもしれないとしています。


コモンウェルス銀行もNABと同じ見方。豪ドルの対米ドル相場の年末水準を0.75米ドルと予想しました。


ウエストパックは、RBAの利下げの可能性が10%あり、利上げの可能性が50%あるとマーケットは考えているが、2020年まで金利は据え置かれると予想しました。ANZも、RBAが早期に利上げすることはないとみています。


「ロイターの調査」


ロイターは、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、年末の豪ドルの対米ドル相場について53人のアナリストを対象にアンケート調査をしました。


アナリストの予想は1ヵ月前に実施した調査と比べ下方修正されましたが、豪ドルが年末までに緩やかに上昇すると引き続き見込んでいることがわかりました。


豪ドルの対米ドル相場について、1ヵ月後は0.71米ドル、3ヵ月後が0.72米ドル、6ヵ月後は 0.73米ドル、そして年末は0.74米ドルというのが予想の中央値でした。


ロイターは、NZドルについても、46人のアナリストを対象に調査しました。


NZドルの対米ドル相場は現在0.68米ドル付近で推移していますが、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後も同じ水準で取引されるというのが予想の中央値でした。こう着相場が続くとの見方。ただ、年末には0.70米ドルに上昇すると予想しました。


豪ドルとNZドルの対円相場については、クロス取引であり、米ドル/円の動きに影響されます。遅くとも年後半には米ドル安円高基調が強まるとの見方が非常に多い。対米ドル相場とはやや異なる動きになる可能性があります。


[January 10, 2018 AN0174]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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