週刊2分でわかる豪・NZ

2018/10/11NZドルはまだ高いとの見方

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「リスク回避」

10日の欧米のマーケットが荒れました。ヨーロッパ全体の株式相場の指標であるEuro STOXX 600が1.6%安、ファンドマネジャーがニューヨーク株の指標としているS&P500が3.29%安と急落しました。恐怖指数であるVIXが前日比で43.95%上昇し、投資家心理が悪化しました。

ニューヨーク債券市場では、米10年債が売られ、利回りが一時3.242%まで上昇しました。その後、株式相場の下げ幅が広がったことを受け、利回りが前日比で低下に転じました。

外国為替マーケットでは、典型的なリスク回避の展開となりました。安全資産とされる円が幅広く買われ、同様にスイスフランが上昇しました。反面、リスクが高いとされる新興国通貨が売られました。

資源国通貨も下落しました。原油価格の大幅下落も影響してカナダドルが下落。豪ドルとNZドルは対米ドルで下げに転じ、対円で下落しました。

豪ドルはリスクに最も敏感な通貨の一つで、リスク心理のバロメーターとされていますが、パターン通りの動きでした。NZドルも連動した形です。

 

「NZドルは過大評価?」

シカゴの最新の通貨先物ポジションの統計では、NZドルの対米ドルのショート(売り)ポジションが偏って増えたことがわかりました。売り越しが2万を超え、3万台に乗せました。

FRBが利上げを継続する一方、ニュージーランドの中央銀行(RBNZ)が2019年いっぱい、2020年にかけて政策金利を据え置くことを示唆していることで、投機筋がNZドルの一段安を想定しています。

売り越しが偏って増えると、ポジション調整で買い戻されるとの思惑で上昇する例があります。しかし、NZドルはさらに下落する余地があるとの見方が少なくありません。

ニュージーランドの酪農組合であるフォンテラは今週、牛乳の出荷価格を下方修正しました。フォンテラは、中国や東南アジアの需要は強いものの、供給とのバランスが取れていないと説明しました。乳製品はニュージーランドの主力輸出品であり、価格の下方修正はNZドルにネガティブに影響します。

NZドルの対米ドル相場は年初から約9%下落しました。対円相場は約9.4%下げました。

ポンドスターリングライブによりますと、TD証券のアナリストはNZドルがまだ過大評価されていると考えています。日本を除く世界の主要な中央銀行が利上げする中でNZドルを買う理由が見当たらないとしています。また、トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争が、リスク通貨であるNZドルと豪ドルに打撃となるとコメントしました。

JPモルガンもNZドルが一段安になると予想しています。S&P500が下落、リスク回避が進んでいて、その動きがNZドルに連鎖するとしています。JPモルガンは、特に10月にその動きが顕著になるとみているとポンドスターリングライブが伝えました。

現地の銀行もNZドル安を予想しています。バンク・オブ・ニュージーランドは、リスク回避ムード、米NZの金利差拡大、中国経済の減速、乳製品価格の低下、企業信頼感指数の低下、そして燃料高で消費者信頼感が低下しているという6つの悪材料があるとした上で、NZドルの下落基調はまだ終わっていないとコメントしました。テクニカル的に対米ドル相場が2016年の安値である0.6350まで下がる可能性があるとしています。ちなみに年末のNZドルの対円相場は現行とほぼ同じ水準を予想しています。

 

「リスクと豪ドル」

リスク回避ムード、アメリカとの金利差の拡大、米中貿易戦争と中国経済の減速など、ネガティブな材料が増えているのは豪ドルも同じです。

豪ドルをめぐっては18日発表の雇用統計、NZドルは16日の消費者物価指数が当面の材料です。

 

[October 11, 2018 AN0162] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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