週刊2分でわかる豪・NZ

2018/06/14金利格差より貿易摩擦

「NZドル買い戻し」


アメリカの中央銀行にあたるFRBは13日、政策金利の誘導目標を0.25%引き上げ、1.75 〜2.00%にすることを決めました。


単純比較はできませんが、FRBの政策金利はニュージーランドの中央銀行にあたる準備銀行(RBNZ)の政策金利を上回ることになりました。長期金利の指標である10年物国債の利回りは、すでに米とNZが逆転しています。


FRBの今回の利上げは予想されていましたが、金利見通しの中で、年内にあと2回の利上げを想定したことはサプライズでした。NZドルの対米ドル相場は、0.7050米ドルから0.6975米ドルに一時下落しました。しかし、NZドルはすぐに買い戻されました。


米NZの金利あるいは利回り格差が拡大することはNZドルのネガティブ要因。それでも、NZドル相場が崩れなかったのは、利回り格差とは別の要因に投資家が注目していることを示唆したものとみられます。


「貿易摩擦は米ドルにネガティブ?」


13日のニューヨーク市場の終盤。ウォールストリートジャーナルのウェブ版が、アメリカ政府は中国からの輸入品に対する関税発動を準備していると報じました。協議中を理由に発動を猶予してきたが期限が迫り、早ければ15日金曜日にも制裁関税を発動する可能性があるとしています。


米中の貿易摩擦は、中国との貿易への依存度が高いニュージーランドの通貨にとって打撃となるとみられますが、投資家は米ドルにネガティブに影響すると考えている可能性があります。


アメリカの財政収支と経常収支の双子の赤字が米ドルにとって打撃になるとの指摘もあります。


アメリカ財務省が13日発表した5月の財政収支によると、赤字額が前年同月比で66%増の1467億米ドルでした。トランプ減税と国防費などの歳出拡大で財政赤字はさらに拡大すると予想されています。


バンク・オブ・ニュージーランドは、最新の通貨リサーチで、金融政策や貿易問題、アメリカの双子の赤字などが絡み複雑だが、NZドルの対米相場は安定的に推移しそうだとコメントしました。年末予想を0.70米ドルに据え置きました。


NZドル相場は目先、レンジ内で推移するとの見方が多くあります。当面の材料は、21日発表のニュージーランドの第1四半期のGDP、そして28日のRBNZの金融政策委員会です。1.75%の政策金利を据え置くと予想されていますが、声明のトーンに注目です。


「RBA利上げはさらに先か」


RBNZが利上げに転じるのは2019年半ば以降との見方が優勢です。オーストラリアのRBAの利上げはさらに先になる可能性があると指摘されています。
オーストラリア経済で懸念されているのは家計債務の拡大。家計債務のGDP比は約120%と過去最高に達しました。所得比は190%で、5年前の160%から大幅に上昇しました。


住宅価格の下落基調が続いていることも懸念材料です。不動産取引からの収益に依存している連邦政府予算にとって打撃になるとの指摘もあります。


懸念材料が多く、豪ドルは上値が重い展開になる可能性があります。現在0.75米ドル近辺で取引されている豪ドルの対米ドル相場は年末までに0.72米ドルまで弱含むとANZは予想しています。


14日発表のオーストラリアの雇用統計が注目されています。豪ドルに影響する可能性があります。


 [June 14, 2018 AN0145] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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