週刊2分でわかる豪・NZ

2018/04/26NZドル下落基調、増える悪材料

「下落基調」


NZドルの下落基調が鮮明です。主要国通貨の中で目立って下げています。複数の要因が影響しているとみられます。


まず、通貨先物のポジション。CMEが20日に公表した17日時点のNZドル/米ドルの先物状況は、買いポジションが4万7255でした。これに対し売りポジションは1万9652。2万7603の買い越し(ネットロング)になる計算です。過剰なネットロングが意識された前週から、さらに過剰感が強まりました。


歴史的なパターンは、買いポジションの偏りが進んだ場合、NZドルの下落基調が当面続くことを示唆しています。主に、ヘッジファンドなど投機筋、もしくは短期筋のポジションのため、近い将来、大幅に変わる可能性があります。あくまでも参考情報ですが、このところのNZドル相場の下げに寄与していると指摘されています。


豪ドル/米ドルは1万155の売り越し(ネットショート)。異常な偏りはありません。比較されることが多いカナダドルは、3万324と偏りのあるネットショートになっていて、買いが入りやすいとの思惑を呼んでいます。


このところ、カナダドルとNZドルは反対の動きをしていますが、通貨先物ポジションが背景の1つだとみられます。ちなみに米ドル/円のポジションに偏りはありません。


2つ目は乳製品。ニュージーランドにとって最重要の輸出品です。17日に実施されたフォンテラ主導のオークションは堅調で、GDT価格指数が2月6日のオークション以来の上昇に転じました。しかし、狂牛病の拡大で、1−3月期の乳製品の売上高は前期比で11%減少しました。月を追うごとに被害が拡大していて、売上高がさらに低迷することも予想されます。


アメリカのトランプ政権の動きも懸念材料です。アメリカ、カナダ、メキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉を続けています。原則合意に近いとされていましたが、ここにきてトランプ政権は乳製品の市場開放をカナダに強く求めてきました。アメリカの畜産業者の保護を狙った主張。いずれニュージーランドに影響が及ぶとの懸念を呼ぶ結果になりました。


3つ目は米国債利回りの上昇。長期金利の指標である米10年債利回りが3%台に乗せ、米ドルは幅広く買われています。NZドルは、高金利通貨として人気を集めていましたが、アメリカとニュージーランドの金利がここにきて逆転しました。FRBが追加利上げの方向にある一方、ニュージーランドの中央銀行(RBNZ)は相当期間にわたり政策金利を据え置く見通しです。米NZの利回り、あるいは金利の逆転がNZドルの上値を抑えています。


ただ、NZドルの下値を支えそうな材料もあります。インフレ率です。19日に発表されたニュージーランドの第1四半期の消費者物価指数は前年比で1.1%と弱めでした。ただ、通貨安を受けて輸入物価が上昇する可能性があります。さらに、アーダーン政権が石油税の導入を計画していることも第2四半期のインフレ率を上げる要因になるとウエストパックが最新のレポートでコメントしました。インフレ率が上がり、中銀の利上げ観測が強まれば、NZドルにポジティブに影響する可能性があります。


NZドルをめぐる目先の材料は2日発表のニュージーランドの雇用統計。そして、10日に予定されるRBNZの金融政策を決める会合です。週末に公表される通貨先物の状況もNZドル相場に影響する可能性があります。


「RBA利上げは当面先か」


オーストラリア統計局が24日発表した第1四半期の消費者物価指数は、前年度比1.9%で、市場予想の2.0%を下回りました。衣料品と通信の価格が下がりました。


弱い指標を受け、オーストラリアの中央銀行(RBA)による利上げは2019年後半までないとの見方が広がりました。RBAは来週1日に金融政策委員会を開きます。1.5%の政策金利を据え置くとの見方がコンセンサスになっています。インフレ率の見通しに慎重な見方を示す可能性があると指摘されています。RBAの声明のトーンが豪ドル相場に影響しそうです。


 [April 26, 2018 AN0139] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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