週刊2分でわかる豪・NZ

2018/04/05米大統領の交渉術にらむ、資源国通貨が堅調

「NZドル高く推移」

今週は資源国通貨(カナダドル、豪ドル、NZドル)の堅調さが目立ちます。

原油など商品相場が大幅に上昇したわけでも、国内の経済指標が強含んだわけでもありません。

バンク・オブ・ニュージーランド(BNZ)のストラテジストは、NZドル高の背景は、ファンダメンタルズではなく、テクニカル的なものだと指摘しています。

NZドルを含めた資源国通貨は通商問題に敏感です。アメリカのトランプ大統領が、鉄鋼とアルミニウムに続いて、中国産1333品目に高率の関税を課す方針を明らかにしました。これに対し、中国が2段階にわたりアメリカ産の輸入品を制限する措置を発表しました。特に4日に公表した輸入制限の中に豚肉や自動車など政治的に影響がある品目が含まれていたことで、米中貿易戦争に発展するとの懸念が強まりました。

ただ、アメリカと中国はそれぞれ、輸入制限の発動時期を定めておらず、同時に交渉する用意があることを示唆しています。このため、問題が交渉で解決される可能性があるとの見方が広がり、NZドルや豪ドルの押し上げ要因の一つになりました。

最初は強硬姿勢、交渉後に態度を軟化させる。これがトランプ流の交渉術ではないか、との指摘があります。その根拠になるのが北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉。トランプ政権は、カナダとメキシコを痛烈に批判、NAFTA脱退まで示唆しました。しかし、強く主張していた自動車関連の要求をと突然和らげました。NAFTA見直しが近く合意に達する兆しが出ています。

中国に対しても同様ではないか。「貿易戦争はいいことだ」などとトランプ大統領は主張していますが、交渉に応じ、貿易戦争にはならないのではないかとの観測が広がりつつあります。

もっともトランプ大統領の行動や発言は予測不能で、状況が大きく変わる可能性も残ります。再び強硬姿勢をみせれば、豪ドル、NZドル、そしてカナダドルにネガティブに影響するかもしれません。

「短期は上昇も中期は下落か」

マーケットでは、アメリカとニュージーランドの政策金利の水準が並び、年内に逆転すると見られています。ニュージーランドの10年債利回りは、アメリカ10年債利回りを下回っています。

このため、テクニカルな要因などでNZドルが上昇する局面も予想されます。しかし、中期的には米ドルをはじめ対主要通貨で下落するとの予想が依然として優勢です。

「豪中銀」

オーストラリアの中央銀行にあたる準備銀行(RBA)が3日、政策金利を過去最低水準の1.5%に据え置きました。予想通りでした。

2016年8月に利下げして以来20カ月にわたり政策金利を据え置いています。オフィシャル・キャッシュレートと呼ばれる現在の政策金利が導入された1990年以来で最長の据え置き期間となりました。

RBAの声明文を受け、最長記録がさらに更新されるとの見方が強まりました。

豪ドルもトランプ大統領の交渉術をにらんだ展開になりそうです。オーストラリア経済が中国への輸出依存度が高いため、特に、米中間の貿易をめぐる動きに敏感に反応することが予想されます。

政策金利や長期金利が逆転、格差が拡大すると見られるため、豪ドルは中期的に、NZドル同様に軟調になると予想されています。

[April 05, 2018 AN0136] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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