週刊2分でわかる豪・NZ

2018/03/29豪ドル弱気派多数、一部で反論

「利回り逆転」

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が28日に出したマーケット・レポートの最後に掲載された各国の10年債利回りのチャートが印象的でした。

アメリカ10年債の利回りは2.78%。その下に表記されたオーストラリアの10年債利回りは2.65%。続いて示されたニュージーランドの利回りは2.75%でした。アメリカとオセアニア2カ国の利回りが逆転しています。

豪ドルとNZドルは高利回り通貨として人気を集めてきました。しかし、アメリカの中央銀行であるFRBが政策金利の引き上げを継続、それを反映して米国債の利回りも一段高で推移しています。このところもたついていますが。

一方、オーストラリアの中央銀行である準備銀行(RBA)は過去最低の政策金利1.50%を当面維持する方向。ニュージーランドの準備銀行(RBNZ)も1.75%の政策金利を相当期間にわたり据え置く方針を示しています。金利格差、利回り格差が逆転、その差が拡大する方向にあります。

このため、豪ドルとNZドルの対米ドル相場は下落するとの見方が優勢です。短期的にはマーケット全体の動きの影響を受けるものの、中期的には安くなると指摘されています。対円相場も一段安になるとの見方が少なくありません。ただ、クロス取引であり、米ドル/円の影響を受けるため、予想にややバラツキがあります。

「豪ドルに強気な見方」

豪ドル安予想が圧倒的に多い中、豪ドルは買い時だと主張するストラテジストがいます。

ポンドスターリングライブによりますと、ソシエテジェネラルのストラテジストは、0.77米ドル近辺の現在の豪ドル/米ドル相場は買いのチャンスだとみています。

米豪の利回り逆転、オーストラリアの経済指標が弱含んだこと、さらにマーケット全体のリスク回避ムードが影響して、豪ドルの対米ドル相場の年初からのパフォーマンスは、カナダドルなど一部を除き先進国通貨の中で最悪です。

しかし、ソシエテジェネラルのストラテジストは、世界の景気サイクル、中国との強い貿易関係などを背景に、オーストラリア経済の悲観論が行きすぎだとみています。

シンガポール拠点のUOB銀行も豪ドルに強気だとポンドスターリングライブが伝えました。豪ドルの対米ドル相場が年末までに7%上昇すると予想しました。

豪ドルの当面の注目材料は4月3日に予定されるRBAの金融政策を決める会合。政策金利を据え置くとの予想が優勢。声明のトーンが注目されています。

ANZは最新のレポートの中で2019年前半までの利上げが正当化されるとは考えていないとコメントしました。

「NZドルはマーケットに連動か」

NZドルをめぐる材料は当面ありません。少し先では4月19日のニュージーランドの消費者物価指数が注目です。低インフレが続いていて、基調変化の兆しが出るか。

NZドルは中期的に下落基調が続くとの見方が多いものの、当面はマーケット全体のリスクをめぐる心理が影響しそうです。アメリカのトランプ政権の通商政策に敏感に反応することも予想されます。

 [March 29, 2018 AN0135] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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