週刊2分でわかる豪・NZ

2018/03/15意外に底堅いNZドル

「豪は除外」


トランプ大統領は8日、15日後の23日から鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を賦課する大統領令に署名しました。貿易問題に敏感なオセアニアでも大きなニュースになりました。


北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉中のカナダとメキシコは、「トランプ関税」からひとまず除外されました。オーストラリアも除外される見通し。トランプ大統領は9日、ツイッターへの投稿で、ターンブル首相と電話で話したとした上で、関税の適用からオーストラリアを除外する考えを示しました。オーストラリアは主に鉄鋼を中国に輸出していますが、主要な対米輸出国ではありません。


ニュージーランド政府も除外を求め動いています。通商政策担当者はアメリカ政府と交渉中だとニュージーランド・ヘラルドが報じました。


「NZドル堅調に推移」


15日発表されたニュージーランドの2017年第4四半期(10−12月)のGDPは前期比0.6%増でした。予想の0.7%を小幅に下回りました。弱めのGDPを受け、NZドルは対米ドル、対円で下落しました。ただ、下げ幅は限定的でした。


このところ、NZドルは堅調に推移しています。同じ資源国通貨で比較されることが多いカナダドルや豪ドルと比べ底値の堅さが目立ちます。ANZは最新のレポートで、NZドルの最近の回復力がサプライズになっているとコメントしました。


しかし、環境がいいとは言えません。「トランプ関税」が国際的な貿易戦争を招くとの懸念、アメリカとニュージーランドの10年債利回り格差がほぼ消滅するなど、NZドルにとってはネガティブな材料が多い。


一方で、マーケットでは、アメリカの財政と貿易の双子の赤字がテーマになっています。米ドル安を招き、結果としてNZドル/米ドルの上昇につながっていると指摘されています。


ただ、NZドル高基調が続くとの見方は少数派です。世界の主要な中央銀行は金融引き締め方向にあり、高金利通貨としてのNZドルの優位性、投資妙味が薄れることが確実視されるからです。ニュージーランド中銀(RBNZ)は依然として引き締めへの転換に慎重な姿勢を示しています。


NZドルの当面の材料は22日に予定されるニュージーランド中銀(RBNZ)の金融政策委員会。金利は据え置かれると予想されています。声明のトーン、通貨に対する言及に注目です。会合の5日後の27日には公的年金スーパー・アニュエーション・ファンドの責任者であるエイドリアン・オア氏が中銀総裁に就任します。


「上値重い豪ドル」


NZドルと比べ、豪ドルは上値の重さが目立ちます。「トランプ関税」から除外されることで安堵感が広がりました。ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の企業景況感指数が過去最高となり、14日の取引で豪ドルは上昇しましたが、上げ幅は限定的でした。


オーストラリアの2017年の第4四半期のGDPは市場予想より弱め。年間成長率が2.4%に鈍化しました。ANZは、オーストラリアの中央銀行(RBA)の2月の声明と3月分を比較、いずれ2018年の成長見通しを下方修正するのではないかとコメントしました。2019年前半まで利上げがないと予想。豪ドルについては、ボラティリティの上昇とRBAのハト派的なスタンスで弱含むとみています。


豪ドルの当面の材料は、22日のオーストラリアの雇用統計、そして4月3日のRBAの金融政策委員会です。アメリカとオーストラリアの利回り格差、コモディティ相場にも反応することが予想されます。


 [March 15, 2018 AN0133] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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