週刊2分でわかる豪・NZ

2018/02/22豪、アメリカの周回遅れ?

「トランプに便乗」


アメリカのトランプ大統領のバンドワゴンに乗る。シドニー・モーニング・ヘラルドに興味深いコラムが掲載されました。「バンドワゴン」は行列の先頭にいる楽隊車のことで、「バンドワゴンに乗る」とは勝ち馬に便乗することを指します。


トランプ大統領の主導で、アメリカの法人税率が35%から21%に引き下げられました。個人の所得税では富裕層が恩恵を受ける税制を導入しました。歴史的な税制改革がニューヨークの株価を押し上げました。経済成長見通しを上方修正する動きが加速しました。


オーストラリアでも法人税と個人所得税を引き下げる動きが強まりました。


オーストラリアの法人税率は30%。年間売上高が1000万豪ドル未満の中小企業は27.5%の税率が2016年7月から適用されていますが、アメリカと比べ高い。


このため、財界団体のBCAが積極的にロビー活動を展開、競争力のある低い税率を求めています。ヘラルドのコラムニストは、BCAがトランプ減税に便乗したことについて、減税を慎重にみるIMFやRBAと対照的だと指摘しました。ただ、オーストラリア議会が減税案を可決するかどうかは不透明です。


「賃金が増えない」


オーストラリア政府の統計局が21日発表した2017年第4四半期(10−12月)の賞与を除く時給ベースの賃金価格指数は前年比で2.1%上昇しました。予想の2.0%上昇を小幅に上回りましたが、伸びが依然として弱いと受けとめられました。


民間部門の賃金の伸び率は前年比で1.9%上昇。RBAが妥当な目標とした3.5%を大幅に下回る水準です。


今月15日に発表されたオーストラリアの1月の雇用統計では、就業者数が1万6000人増えました。市場予想と一致。就業者数の増加は16カ月連続です。統計を取り始めた1978年以降で過去最長を記録しました。失業率は5.5%。12月の5.6%から改善しました。労働参加率は65.6%と高水準、女性の就業も増えました。


2015年末、アメリカのFRBは政策金利を9年ぶりの利上げに踏み切りました。雇用が堅調に推移しましたが、賃金が伸びないことが懸念でした。いまのオーストラリアと似ています。FRBは緩やかな利上げを続けましたが、賃金の伸びは鈍いままでした。今年に入り、賃金の上昇傾向がようやく出てきました。


低インフレに加え、賃金の伸びが鈍いことも背景となり、RBAは当面の間、過去最低の政策金利1.5%を据え置くとの見方が優勢です。2019年末まで利上げがないとの見方もあります。


雇用は堅調なものの、賃金が伸びない。利上げがまだ先で、景気押し上げ効果が期待できる減税の行方が不透明。単純比較するには無理があるかもしれませんが、オーストラリア経済の回復は、アメリカと比べ3年程度遅れているようにみえます。


景況格差、そして金利差などを背景に、豪ドルの対米ドル相場は緩やかに下落するとの見方が優勢です。


NZドルについても、対米ドルで緩やかに下落するとの見方が優勢です。ただ、RBNZ(NZ中銀)はRBAより早く利上げに踏み切る可能性があり、下落率は豪ドルより小幅になるとの予想が少なくありません。


 
[February 22, 2018 AN0130] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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