週刊2分でわかる豪・NZ

2018/02/01インフレと金融政策めぐる思惑

「予想下回る」


オーストラリア政府の統計局が31日発表した2017年第4四半期(10−12月)の消費者物価指数は、総合指数に相当するオールグループが前期比で0.6%上昇。予想の0.7%を下回りました。前年比は1.9%の上昇でした。


ガソリン、国内旅行、果物の価格が大幅に上昇した反面、海外旅行、コンピュータ、テレビ、衣料品などの価格が下落しました。


中央銀行が重視するトリム平均値は前年比で1.8%上昇、これも予想の1.9%に届きませんでした。中央銀行の目標である2〜3%を8四半期連続で下回ったことになり、過去最長を記録しました。


アメリカなどと同様に雇用が拡大していますが、賃金の伸びが鈍く、物価を抑える要因となっていると分析されています。


予想を下回る消費者物価指数を受け、マーケットでは豪中銀の利上げは当面ないとの見方が広がりました。


ABCによると、ドイツ銀行のアナリストは、家計部門の回復の兆しが出てきたばかり、中銀が先回りして利上げする理由が見当たらないし、早期の利上げは危険だとするメモを顧客に送りました。


ANZは、中銀が2018年中に0.50%の利上げをするとの予想を維持していますが、物価上昇の弱さと賃金データが予想の下方修正リスクを示唆していると最新のレポートでコメントしました。


「NZも低インフレ」


ニュージーランドの第4四半期の消費者物価指数も弱めでした。前期比0.1%の上昇と、予想の 0.4%を大幅に下回りました。前年比では1.6%上昇にとどまり、こちらも予想(1.9%上昇)に届きませんでした。


ニュージーランドの中銀のインフレ目標は1〜3%。予想を下回ったことで、中銀はもうしばらく様子を見そうだとの見方が強まりました。


ANZは、ニュージーランドのインフレ率が弱含む可能性があり、中銀は引き締めへの転換に慎重になるだろうとコメントしました。


「米との比較」


一方、アメリカの中央銀行にあたるFRBは31日の会合(FOMC)の声明で、インフレ率に関する文言を上方修正しました。3月利上げを示唆する内容。パウエル理事が次期議長に就任、FOMCの投票メンバーにインフレ懸念派が増えること、景気が堅調なことなどを背景に、FRBが利上げペースを速めると予想するアナリストは少なくありません。


アメリカ経済とFRBの金融政策と、オセアニア経済および豪中銀・NZ中銀との間には温度差があります。このため、豪ドルとNZドルの対米ドル相場は、中期的に下落するとの見方が優勢です。


しかし、目先は豪ドルとNZドルが対米ドルで堅調に推移するとの予想が少なくありません。


バンク・オブ・ニュージーランド(BNZ)は、最新の為替に関するリサーチメモで、「ファンダメンタルズを無視する形で、米ドルがチャートの支持線を割った」と指摘、NZドル高米ドル安が一段進む可能性があるとコメントしました。


豪ドルの対米ドル相場も節目の0.80を超えた水準で推移しています。目先、マーケット全体の米ドル安基調が、豪ドルとNZドル相場に影響しそうです。


それぞれの対円相場については、クロス取引であるため、米ドル/円相場の影響を大きく受けそうです。


当面の材料は、6日の豪中銀の会合、そして8日のNZ中銀の会合です。いずれも政策を据え置くと予想されていますが、声明のトーンが豪ドルとNZドルにそれぞれ影響しそうです。


 [February 01, 2018 AN0127] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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