週刊2分でわかる豪・NZ

2018/01/25貿易問題に揺れる豪ドルとNZドル

「貿易政策に神経質」


今週の豪ドルは貿易政策の影響を大きく受けました。


日本やカナダ、そしてオーストラリアとニュージーランドを含む11カ国は23日、TPP協定署名式の3月開催を目指すことで合意しました。アメリカを除外した協定。オーストラリアのターンブル首相がTPP交渉の前進を歓迎、豪ドルにとってポジティブ材料のはずでした。


しかし、豪ドルは軟調に推移しました。アメリカのトランプ大統領が、太陽光パネルと家庭用洗濯機に追加関税を課すことを決めたからです。トランプ政権として初めてアメリカ通商法201条に基づく緊急輸入制限(セーフガード)を発動しました。


アメリカは太陽光パネルを主にアジアから輸入、家庭用洗濯機は韓国のサムスン電子とLG電子がアメリカ市場でのシェアを伸ばしています。


トランプ政権は鉄鋼やアルミをはじめセーフガードの発動を拡大すると予想されます。そして、オーストラリアの最大の貿易相手国である中国とアメリカとの貿易戦争に発展するとの懸念が広がりました。これが23日に豪ドルが売られた背景です。


豪ドルの対米ドル相場は24日の取引で買い戻されました。0.80を超えて豪ドル高米ドル安が進みました。0.8060を超えたことで、0.81が視野に入ったとの指摘があります。


世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加するためスイスを訪問中のアメリカのムニューシン財務長官が「米ドル安が我々の貿易にとって好ましい」として、米ドルの下落を容認する姿勢を示したことで米ドルが売られました。クリントン政権から3代続く米ドル高政策の方針転換に敏感に反応しました。


豪ドルの対米ドル相場は、短期的に上昇するとの見方が優勢。一方、中期的には豪ドル安になるとの予想が少なくありません。


シドニー・モーニング・ヘラルドによると、ウエストパックは豪ドル/米ドルの年末予想を従来の0.70から0.72に上方修正しましたが、豪ドル安が進むとの見通しに変化はありません。0.80を超える豪ドル高は続かないとみています。


貿易戦争を招きかねないトランプ政権の保護主義的な動きや、ムニューシン財務長官の米ドル安を歓迎する発言は、米ドル/円にも大きく影響。円高が急速に進みました。この影響で、クロス取引の豪ドル/円はやや軟調に推移しました。米ドル/円の振れが目先大きくなるとの指摘が多く、豪ドルの対円相場に大きく影響しそうです。


「NZのCPI弱い」


アメリカのムニューシン財務長官の米ドル安を歓迎する発言は、NZドルにも影響しました。24日の取引で、NZドルの対米ドル相場は5カ月ぶりの高値をつけました。去年9月の選挙後の政局不透明感、労働党政権誕生を材料にしたNZドルの下げを消した格好です。


25日、ニュージーランドの第4四半期の消費者物価指数(CPI)が予想を大きく下回りました。NZ中銀の利上げ期待が後退、NZドルが対米ドル、対円で大幅に下落しました。


ただ、影響は一時的になる可能性があります。ダボス会議への注目度が非常に高いからです。トランプ大統領は現地時間の25日夜、演説を予定しています。保護主義色を強めることが予想されます。


豪ドルとNZドルは当面、アメリカの貿易政策に敏感に反応しそうです。


[January 25, 2018 AN0126] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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