週刊2分でわかる豪・NZ

2018/01/11今後2年の豪ドル、違いすぎるプロの予想

「ダーツ投げ」

「目隠しをしてダーツを投げているようなものだ」。オーストラリアの主要放送局ABCが今週、豪ドルの見通しについてこう伝えました。豪ドルが上昇するのか、下落するのか。聞く専門家によって答えが違いすぎるとしています。

ABCが主要な9つの金融機関の外国為替担当のアナリストを対象に2018年と2019年の豪ドル相場について調査したところ、予想が大きく分かれました。

背景には、アメリカ経済の回復ペース、コモディティ相場の動向、そして中国経済がどこまで減速するかの見通しの違いがあるとABCが解説しました。ただ、3つの背景についても、見方がバラバラだったとしています。

「強気派」

豪ドルに強気なのは3社。オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)は、2018年末の豪ドルの対米ドル相場が0.83、2019年末に0.88米ドルに上昇すると予想。UBSは2018年末が0.81、2019年末は0.84米ドルとの見通しを示しました。

HSBCは2018年第3四半期から2019年末まで0.84米ドルで推移すると予想しました。

現在の豪ドル/米ドルは0.78米ドル台で推移していますので、3社は豪ドル高になるとみています。いずれも、豪中銀が2018年の第2四半期に利上げに転じると予想。アメリカのFRBの今後2年間の利上げ回数については、CBAが2回、UBSが5回、HSBCが3回と見通しが分かれました。

「弱気派」

弱気派は6社です。もっとも弱気なのはモルガン・スタンレー。現在0.78米ドルの豪ドルの対米ドル相場が2018年末に0.67、2019年第1四半期に0.65米ドルまで下落すると予想しました。ただ、モルガン・スタンレーは、2019年第2四半期以降に豪ドル/米ドルが緩やかな上昇に転じ、2019年は0.70米ドルで終えるとみています。

ANZとウエストパックも豪ドル/米ドルの2019年末を0.70米ドルと予想。アメリカの金利がオーストラリアより高くなることで豪ドル安が進むとみています。米豪の金利が逆転した17年前は豪ドルの対米ドル相場が0.48米ドルまで下がりました。

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は弱気派ですが、豪ドルの下げは限定的だとみています。2018年末が0.73、2019年末は0.75米ドルとの見通し。オーストラリアの投資会社マッコーリーは、2018年末と2019年末が現在の水準より小幅安い0.77米ドルと予想しました。

JPモルガン・チェースは、2018年第1四半期から緩やかに豪ドル安・米ドル高が進み、2018年は0.72米ドルで終えると予想しました。JPモルガン・チェースは、2019年の見通しを示しませんでした。いまから2019年末まで何が起こるかわからず、相場予想を出すには先すぎるとABCに説明しました。

弱気派の6社のうち、豪中銀が2018年第2四半期に利上げすると予想したのが4社。もっとも弱気なモルガン・スタンレーは2019年第2四半期まで利上げがないと予想。JPモルガンは2019年中と予想しました。

アメリカのFRBの2018年と2019年の利上げ回数については、2回から6回まで弱気派6社の間で見方が大きく分かれました。

ウエストパックのチーフ・エコノミストは、2018年と2019年で最も不透明な要因は中国の金融システムだとABCにコメントしました。中国経済への依存度が高いオーストラリアにとって、どの問題よりも懸念材料だとしています。鉄鉱石と石炭の価格動向がオーストラリアにとって重要で、中国の需要に影響されそうだとのコメントもありました。

「当面の材料」

外国為替マーケットは、2018年第2週に入り振れが大きくなってきました。米ドル/円の変動率も高い。オセアニアの2通貨、豪ドルとNZドルは当面、マーケット全体の動きの影響を受けそうです。

目先の材料は18日発表のオーストラリアの雇用統計。NZドルについては25日のニュージーランドの消費者物価指数が材料になりそうです。

[January 11, 2018 AN0124] 

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.06.14 更新金利格差より貿易摩擦「NZドル買い戻し」アメリカの中央銀行にあたるFRBは13日、政策金利の誘導目標を0.25%引き上げ、1.75 〜2.00%にすることを決めました。単純比較はで…
  • 2018.06.07 更新地政学リスクに敏感な豪ドル・NZドル「据え置き」オーストラリアの中央銀行にあたる準備銀行(RBA)は5日の会合で、オフィシャル・キャッシュレートと呼ばれる政策金利の誘導目標を過去最低の1.5%に据…
  • 2018.05.31 更新豪ドルの底みえた?「67%減」オーストラリアの主要メディアで、不動産価格の下落に関するニュースが目立って増えました。2大都市のシドニーとメルボルンの住宅価格の下げが特に目立つとし…
  • 2018.05.24 更新NZドルは売られすぎたか「冬到来」ニュージーランドの今朝のトップニュースは大雪でした。南半球のニュージーランドはこれから冬に向かいます。24日の朝は広い地域で気温が氷点下に下がりました…
  • 2018.05.17 更新投資家を悲観させたデータ「賃金が増えない」オーストラリア統計局が16日発表した第1四半期(1−3月)の賃金価格指数は、季節調整済みで前期比0.5%の上昇でした。前年比では2…

「週刊2分でわかる豪・NZ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ