週刊2分でわかる豪・NZ

2017/12/21米豪利回り逆転に注目する大手ファンド

「家計所得と債務に警戒」

オーストラリアの中央銀行にあたる準備銀行(RBA)が19日に発表した今月5日の政策会合の議事録では、2018年に景気が加速すると予想していることがわかりました。

同時に議事録は、賃金の伸びが7-9月に低位で安定、家計所得が伸び悩んでいるとの認識を示しました。家計債務の増加と合わせ、消費に「依然としてかなりのリスクがある」と警戒していることが明らかになりました。

景気はまだら模様。RBAが当面の間、政策金利を据え置くとの見方が優勢です。エコノミストの間でバラツキがありますが、弱気派は「2019年末まで据え置き」と予想。強気派でも「利上げは早くても2018年後半」としています。

一方、アメリカのFRBは今月13日の会合で0.25%の利上げを決めました。来年については、3回の利上げがあると予想しています。RBAとFRBの金融政策の方向に温度差があります。

「対米ドルで0.70米ドル割るか」

ブルームバーグは、大手投資ファンドの間で、豪ドルの対米ドル相場が0.70米ドルを割って下落するかどうかで見方が対立していると伝えました。

今年の夏、1豪ドル=0.80米ドルという水準がマーケット関係者の間で強く意識されました。豪ドルは9月に年初来高値をつけた後、約6%下落。いまは0.70米ドルという水準が意識されています。

オーストラリアのブリスベンを拠点にするQICは、オーストラリアとアメリカの金利、国債利回りに注目しました。

2018年半ばまでに、豪国債の利回りが米国債を下回ると予想しています。高金利通貨としての豪ドルの投資妙味がなくなり、豪ドルの対米ドル相場が0.70米ドルを割ると予想しました。

一方、シドニー拠点のAMPキャピタル・インベスターズは、オーストラリアの最大貿易相手の中国の経済が好転、鉄鉱石などコモディティ価格の上昇が追い風となり、豪ドルの対米ドル相場は0.70米ドルより上の水準で推移すると予想しています。

ヘッジファンドなどの投機筋は豪ドルに対し弱気に転じたようです。CFTCの豪ドルのロング(買い)ポジションは8月の水準から半減しました。

ブルームバーグによりますと、豪ドルの対米ドル相場の2018年末のストラテジストらの予想は0.67 から0.86米ドルと開きがあります。現在は0.76米ドル付近。見方が大きく分かれています。RBAとFRBの金融政策および米豪の利回り格差、そして、中国経済とコモディティ価格に対する見通しの違いが、予想の開きに反映しています。

「NZ、移民が急減する見通し」

ここ数年、堅調に推移したニュージーランド経済。成長の約60%は移民による経済効果だとされています。主に中国人。しかし、2018年は状況が大きく変わりそうです。

ニュージーランド・ヘラルドによりますと、2017年にニュージーランド政府が受け入れた移民数は約7万人。それが2018年は約半分に急減する見通しです。

アーダーン首相率いる労働党と連立を組むNZファースト党が、以前から移民制限を訴えていました。その影響が来年以降に出ることが確実です。

ミルフォード・アセットマネージメントやクレイグ・インベストメントのストラテジストが、移民の急減でニュージーランド経済が減速すると懸念しているとヘラルドが解説しました。

[December 21, 2017 AN0121] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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