週刊2分でわかる豪・NZ

2017/12/14NZドルは中銀総裁に注目、豪ドルはどうか

「エイドリアン・オア」

ニュージーランドのロバートソン財務相が11日、ニュージーランドの中央銀行にあたる準備銀行(RBNZ)の次期総裁にエイドリアン・オア氏を指名したと発表しました。スペンサー総裁代行の任期が切れる来年3月27日に就任。RBNZ理事会の全会一致の推薦があったとしています。

オア氏は、ニュージーランドの公的年金、スーパーアニュエーション・ファンドの責任者。スーパーアニュエーション・ファンドは世界で最も成功している公的基金の1つで、2001年設立以来の年間リターン平均は10.2%です。

公務と民間の両方でエコノミストとしての経験が豊富なオア氏。2003年から2007年までRBNZの副総裁をつとめました。2000年から2003年まで大手銀ウエストパックのチーフエコノミスト、ナショナルバンク・オブ・ニュージーランド勤務やパリに拠点があるOECDへ出向した経験もあります。

エコノミストとして幅広い実績があるオア氏の起用を、マーケット関係者は好感しました。アーダーン政権が中央銀行法の改正を目指していますが、オア氏が総裁につくことで極端な変更がなくなったとの安心感が広がりました。

また、ウィーラー前総裁がマスコミ嫌いで、公の場での発言がほとんどなかったのに比べ、オア氏はマーケットやマスコミとの対話を重視していることも好感度を上げています。

マーケットがよく知る「無難な人物」の指名で不透明感が消え、NZドルが幅広く買われました。

9月の議会選挙以降、NZドルの対米ドル相場が6%近く下落しました。連立政権の発足に時間がかかったこと、第2党の労働党が政権を取ったサプライズと政策の不透明感が影響しました。

ここにきて、NZドルを買い戻す動きが続いています。フィナンシャルタイムズによりますと、RBCキャピタル・マーケッツのアナリストは、NZドルが目先さらに上昇しそうだとするメモを顧客に送りました。「何カ月にも渡りNZドルのショート(売り)ポジションが積み上がったが、行き過ぎだった」としています。

「新総裁の手腕は?」

RBNZは来年以降、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を多数決で決めることになります。オア氏が議長役になりますが1票のみ。

バンク・オブ・ニュージーランド(BNZ)のエコノミストは、オア新総裁がそれほどハト派ではないとマーケットが考えているが、来年3月27日に就任するまでわからないとコメントしました。やや慎重な見方。

「豪ドル弱気見通し」

NZドルに連動するように豪ドルもこのところ堅調です。フランス企業がオーストラリアのショッピングモール・オペレーター、ウエストフィールズを買収するという大型M&Aのニュースが豪ドル相場を押し上げました。

ただ、中期的には豪ドルに慎重な見方があります。ウエストパックは、豪ドルの対米ドル相場が来年6月までは現在より小幅安い水準の0.74米ドルで推移、その後0.70米ドルまで下落すると予想。2019年6月までに0.68米ドルまで豪ドルが売られるとの見通しを最新のレポートで示しました。

アメリカのFRBが13日に今年3回目となる利上げを決めました。FRBは来年3回の追加利上げを見込んでいます。一方、オーストラリアの中央銀行(RBA)は1.50%の政策金利を来年末まで据え置くとウエストパックが予想しています。豪米の金利が逆転するとの見通し。豪ドルに弱気な背景です。

[December 14 2017 AN0120] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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