週刊2分でわかる豪・NZ

2017/12/07豪4大銀の相場見通し、日本人投資家の影響も

「GDP、予想下回る」

オーストラリア連邦統計局が6日発表した今年第3四半期のGDPは、前年比で2.8%増加しました。前期の1.9%増から加速、1年超ぶりの大幅な伸びとなりました。民間の設備投資、公共投資の増加が寄与しました。予想の3.0%増には届きませんでした。

家計支出が弱い。内訳をみると、電気代などの公共料金、医療費、家賃など住宅に関する支出が大幅に増えました。その一方、衣料や靴、レストランなどの支出が前年比でマイナスになっています。

ANZのエコノミストは、個人消費支出が前期比で0.1%しか増えておらず、2008年以来の弱さだとABCにコメントしました。BISオックスフォードのエコノミストも、個人消費が非常に弱いと指摘しています。個人消費は、オーストラリアのGDPの約60%を占めています。

「見通し分かれる」

オーストラリアの4大銀行の2018年の豪ドルの見通しにはバラツキがあります。いずれも頻繁に見通しを修正していますが、最新の見通しでも強弱が鮮明です。

最大手のANZは、現在0.75〜0.76米ドルで推移している豪ドルの対米ドル相場が来年0.82米ドルまで上昇するものの、来年末は0.74米ドルまで戻ると予想しています。対円では年初めの96円から87円に下がると予想。

コモンウエルスバンク(CBA)は、4大銀行で豪ドル相場に最も強気です。ビジネスインサイダーによりますと、CBAは、豪ドルの対米ドル相場が年初の0.80米ドルから年末にかけて0.85米ドルまで上昇すると予想。米ドルが軟調に推移するとの見方が背景です。

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)とウエストパックは豪ドルに弱気です。NABは豪ドルの対米ドル相場が年初の0.75米ドル近辺から来年末に0.73米ドルへ下落すると予想。ウエストパックは、来年末に0.70米ドルまで豪ドル安が進むとみています。

4大銀行はいずれも、オーストラリアとアメリカの利回りもしくは金利動向、コモディティ価格、そして、他の先進国の金融政策の3つが2018年の豪ドル相場の材料だとしています。特に最初の材料について、米豪の金利、利回りが逆転する可能性があり、最も注目されています。

ブルームバーグのエコノミストを対象にした調査では、アメリカのFRBが政策金利を来年3度、2%まで利上げするとの予想。これに対し、オーストラリアの中央銀行は現在1.50%の金利を1度だけ1.75%にするとの中間予想でした。

「日本人投資家」

ブルームバーグに興味深い記事がありました。日本人投資家が豪ドル建て投資に消極的になっていると伝えました。

それによりますと、日本の投資信託が豪ドル建て債券を購入した額は2015年に530億円。2016年は490億円に減りました。今年の月平均は380億円で、さらに減りました。

また、日本の個人投資家が保有する豪ドル建て投資信託は今年10月時点で2兆8100億円相当と過去1年で最低水準だったとブルームバーグが伝えました。ピークの2012年2月と比べておよそ半分の水準。

日本の大手保険会社や証券会社が、豪ドル建ての金融商品を個人投資家に積極的に売っているという話を過去に何度も聞きました。ただ、最近は聞きません。

オーストラリアの低成長、高くない金利、最大貿易相手国の中国の経済の不透明感などを背景に、日本人投資家の熱が冷めつつあるのかもしれません。日本人投資家の動向が、来年の豪ドル相場に影響する可能性があります。


 [December 07 2017 AN0119]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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