週刊2分でわかる豪・NZ

2017/11/16豪ドルとNZドル、どう動くか

「軟調」

このところ、豪ドルとNZドルが軟調に推移しています。いずれも、金融政策の方向と政治が影響しています。

オーストラリアの中央銀行にあたる準備銀行(RBA)は、10日に公表した四半期金融政策報告でインフレ率予想を下方修正しました。インフレ率がRBA目標レンジの2〜3%の下限に達するのは2019年初め以降になるとの見通しを示しました。3カ月前の8月時点では、2017年の下期にインフレ率が2%前後に上昇すると予想していました。

RBAはさらに、2018年の経済成長率の見通しを当初予想の3.00%から2.75%へ下方修正しました。豪ドル相場が一段高になれば、インフレ率と経済成長の回復が鈍化する可能性があるとしています。

RBAの報告を受け、利上げが2019年以降になるとの観測が広がりました。それまでは、来年中に合計で0.50%の利上げがあるとの予想が一部でありました。

オーストラリアではまた、政局が不安定になっています。議員の二重国籍問題で最高裁が「議員資格がない」との判断を示したことを受け、議員の失職、辞職が相次ぎました。ジョイス副首相も失職。国民党と自由党の連立で構成されるターンブル政権が下院で過半数を割りました。

13日に公表されたニュースポールの世論調査によりますと、ターンブル首相の支持率は41%から36%に低下。首相就任時は55%でした。

政党別の支持率では、野党の労働党が与党の保守連合を上回りました。来月、補選が実施されますが、結果次第では、来年選挙が実施される見通しです。政局の不透明感が当面続き、豪ドルの重石になることが予想されます。

 一方、ニュージーランドでは、先週の金融政策委員会を受け、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が少なくとも2019年初めまでは政策金利を据え置くとの見方が広がりました。

政権交代した労働党のアーダーン首相は、連立を組むNZファースト党の要求を受け、中古住宅の外国人の購入禁止や移民の大幅制限など保護主義色を強めています。RBNZの役割も修正する方向で、当面は総裁人事が注目されています。不透明感がNZドルの重石になっています。

「ロイター調査」

ロイターが48人のアナリストを対象に実施した最新の調査で、豪ドルは横ばい、NZドルは安定に向かうと予想していることがわかりました。年初の調査と比べ、見通しが大きく変わりました。

豪ドルの対米ドル相場は現在0.76米ドル前後で推移していますが、1カ月から半年後は0.77米ドル、1年後については0.78米ドルとの中間予想でした。つまり、豪ドルは今後1年、ほぼ横ばいで推移すると予想されています。年初時点の予想は半年後が0.73米ドル 、1年後は 0.72米ドルでした。

一方、NZドルについては、1カ月後の対米ドル相場は0.70米ドル、来年11月は0.70米ドルというのが中間予想。現在は0.68米ドル台で取引されていますので、安定するとの見通しです。

ただ、ロイターの調査とは異なる見方もあります。独立系の情報会社ポンドスターリングライブによりますと、UBSは豪ドルの対米ドル相場が過小評価されていて、2018年中に6%上昇すると予想しています。マーケットの予想より早くRBAが利上げするとの見方が背景です。

豪ドルとNZドルは、カナダドルと並ぶ資源国通貨です。このところ、原油をはじめコモディティ価格が下落基調にあり、資源国通貨のネガティブ要因になっています。中国の弱い経済指標にも再び敏感になっています。

国内要因に加え、国外要因も、目先の豪ドルとNZドルの上値を抑える可能性があります。目先は軟調に推移するとの見方が少なくありません。クロス取引の対円相場は、米ドル/円の振れがやや大きくなっているため、その影響を受けそうです。

[November 16, 2017 AN0116] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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