週刊2分でわかる豪・NZ

2017/11/02緩和観測、豪ドルとNZドルを圧迫

「住宅ブーム終焉」


大手金融機関UBSは、オーストラリアの住宅ブームが終わったと顧客向けメモでコメントしました。シドニー・モーニング・ヘラルドは、「オーストラリアの世界記録が止まった」と報じました。


UBSによると、オーストラリアの住宅価格は55年連続で上昇しました。上昇率は6500%超。しかし、最大都市シドニーの住宅価格が2カ月連続で下落、「公式」に住宅ブームが終わったとしています。


コアロジックが2日発表した住宅関連統計では、シドニーの第3四半期の住宅価格が前の四半期に比べ0.6%下落しました。ダーウィンは4.4%低下、パースは0.7%下がりました。メルボルンの住宅は0.5%値下がりしました。


「中国人の資金引き揚げ」


中国人は東京を含めた世界の主要都市の不動産から撤退、売りに転じたとの話を最近、よく耳にします。オーストラリアも同様。中国人が積極的に投資したシドニー中心部の大型プロジェクトが突然中止されるなど、中国人投資家の不動産投資に異変が起きています。


ブルームバーグがまとめた統計では、今年半ば以降、オーストラリアの不動産に流入する中国マネーが急減しました。不動産オークションに参加する中国人が減り、成約率は去年の75%から60%に低下しました。中国政府が海外へ資本を持ち出すことを厳しく規制したことが大きく影響しているとみられています。


ABCによると、クレディスイスはオーストラリア経済に関するレポートの中で、中国の資本持ち出し規制が厳格化した影響で中国からの資本流入が大幅に減少、その影響でシドニーの住宅市場は減速したというより冷え込んでいるとコメントしました。その上でクレディスイスは、オーストラリアの中央銀行(RBA)が利下げする可能性があるとの見方を示しました。


先週25日に発表されたオーストラリアの第3四半期の消費者物価指数は、前月比0.6%、前年比1.8%にとどまり、いずれも予想を下回りました。これも影響して、RBAの利上げ観測が後退しつつあります。大手銀ANZやNABは依然として2018年中の0.50%の利上げを予想していますが、見通しが将来修正される可能性があります。


利上げ見通しが利下げ予想に転じると、豪ドルはさらに下落する可能性があります。当面は、オーストラリアの雇用統計、住宅関連指標、そして、インフレ指標に敏感に反応しそうです。


2重国籍問題で副首相を含め6人の議員が失職。これも影響して、豪ドルは軟調に推移しています。「売られすぎ」との見方はなくなりつつあり、当面、対米ドルで軟調に推移する可能性があります。


「新政権にらむ」


1日のオセアニアと欧米市場で、NZドルが反発しました。1週間ぶりの高値。第3四半期の雇用統計が予想以上に強かったことが背景です。


しかし、NZドルが上昇基調に転じたとの見方はほとんどありません。「売られすぎ」との見方が依然としてありますが、先週発足した新政権の政策の全容はまだ明らかになっておらず、不透明感が強いようです。アーダン政権は、連立を組んだNZファースト党の影響もあって、中央銀行を改革する方針を示しています。これを受け、マーケットの一部で金融緩和観測が浮上しました。当面のNZドルの重石になると予想されます。


緩やかなNZドルの下落基調が続くとの見方が優勢です。上昇する局面でも上値が重くなる可能性があります。新政権のメッセージに一喜一憂するとみられます。


目先の注目は、9日に発表されるニュージーランド中銀の金融政策声明です。


[November 02, 2017 AN0114] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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