週刊2分でわかる豪・NZ

2017/10/05いつか幸運つきる、豪ドルは高すぎる?

「世界最長の景気拡大」


2400万人が、温暖で資源が豊富な大陸を独り占めしている。世界の紛争からも切り離されている。オーストラリアは過去数十年にわたり「ラッキーカントリー(幸運な国)」と呼ばれてきました。


フィナンシャルタイムズが、対中関係の関係悪化などで「オーストラリアの幸運がつきるのか」と題したコラムを掲載したのが去年8月。しかしその後の1年もオーストラリアの幸運は続きました。


オーストラリアの景気拡大は今年第1四半期(1−3月)に、1980年代初頭から続いたオランダの最長記録25年9カ月に並びました。先月発表された第2四半期(4−6月)のGDPは前期比で0.8%増加。最長記録を26年に伸ばしました。


ここにきて、オーストラリア経済に陰りがみえはじめています。シドニーモーニングヘラルドは今週、「オーストラリアの経済の運がつきはじめたようにみえる」と題するコラムを掲載しました。


オーストラリア経済をけん引したのは、鉄鉱石など鉱物資源の輸出、そして、金融緩和を背景にした住宅ブームの両輪。鉱山ブームは下火になりましたが、教育や医療関連などサービス業が伸びました。しかし、サービス業が鉱山業を穴埋めするにはほど遠いとシドニーモーニングヘラルドは解説しました。


家計債務も問題視されています。オーストラリアの家計債務額はGDPの120%に達しました。IMFの最新のレポートによると、先進国の平均は63%。カナダとならびオーストラリアの家計債務は増え続けていると警告しました。


所得以上に支出する。多額の借金をして不動産を買う。家計債務の増大については、オーストラリアの中央銀行が過去に何度も警鐘を鳴らしましたが、トレンドは変わっていません。


「トヨタ、生産中止」


トヨタ自動車は3日、半世紀余りに及んだオーストラリアでの自動車生産を、豪ドル高を理由に停止しました。2014年に発表していました。GMとフォードもオーストラリアでの生産を終える計画です。自動車メーカー各社は、オーストラリアで生産した自動車を東南アジアなどに輸出していましたが、豪ドル高で採算が合わなくなりました。


マーケット関係者も豪ドル高を注視しています。「過大評価された豪ドルが一段安になる」との見方が増えました。


豪ドル安が進むとの見方は年初からありました。しかし、米ドルが予想以上に軟調に推移したことで、ストラテジストは豪ドルの見通しを複数回修正しました。


マーケットでは、豪ドルが対米ドルで3週間前に0.81まで上昇したことで天井を打ったとの見方が広がりました。現在は0.78〜0.79で推移しています。


ステート・ストリート・アドバイザーズのストラテジストは、今後6週間程度で、豪ドルの対米ドル相場が3〜5%下がると予想しました。シドニーモーニングヘラルドに語ったものです。ナショナル・オーストラリア銀行も、豪ドルの対米ドル相場が年末から来年にかけて0.73 〜 0.74まで下落するとみています。


一方、全く逆の見方もあります。ANZは、中銀が来年利上げに転じるとみて、豪ドルの対米ドル相場が、12月末には0.82に上昇すると予想しました。


クロス取引の豪ドル/円は、米ドル/円にも左右されますが、方向は豪ドル/米ドル相場に連動する可能性が高そうです。


「低調なNZドル」


NZドルが、先月の総選挙以降、軟調に推移しています。


連立政権樹立のキャスティングボートを握るNZファースト党は今週、与党の国民党、そして議席を大幅に伸ばした最大野党の労働党と個別に予備的な協議を始めました。海外投票を含めた総選挙の開票結果は10月7日に公表されます。結果を受けて正式協議に移りますが、今月末までにまとまるかどうかは不明です。


国民党、労働党のどちらが政権を取るか、予断を許しません。不透明感が続く限り、NZドルは軟調に推移しそうです。どちらの党が政権を取っても、NZドルは対米ドル、対円で大きく変動する可能性があります。とりわけ、労働党主導の連立政権が誕生した場合は、NZドルの下落に注意が必要でしょう。


 
[October 05, 2017 AN0110] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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