週刊2分でわかる豪・NZ

2017/09/28NZ政権は予測不能、鍵握る「為替介入」の党

「NZファースト」

ニュージーランドで23日土曜日、議会選挙の投開票が行われました。イングリッシュ首相率いる国民党が第1党になったものの、連立を組んできた少数政党を加えても過半数に届きませんでした。女性党首ジャシンダ・アーダーン氏の労働党は議席数を大幅に伸ばしました。

ニュージーランドの議会は先進国では珍しく一院制です。定員は120ですが、小選挙区と比例代表を併用する議席の算出法が特殊で、最終的な議席が120を超えることもあります。

1992年と1993年、2011年の国民投票を経て現在の選挙制度ができましたが、人口の約14%を占めるマオリ族に配慮した議席配分となっています。少し複雑な制度で、1つの党が過半数を取ることが難しいと指摘されています。

今回の選挙でも、戦後の政権を担ってきた国民党と労働党の2大政党がいずれも過半数を確保できませんでした。選挙の最終結果は、在外投票など全体の15%にあたる特別投票の結果が公表される10月7日まで確定しません。多少変わる可能性がありますが、これまでの集計で、定員120に対し、国民党は58議席、労働党は45議席、NZファースト党は9議席、緑の党は7議席となっています。

連立政権樹立の鍵を握るのは第3党のNZファースト党です。過去に、国民党と労働党のそれぞれと連携した経験があります。連立を組む見返りに何を要求するか注目を集めています。

NZファースト党は移民・難民の受け入れに反対しています。TPPにも反対。さらに、中央銀行による為替介入を増やすよう主張しています。海外企業の投資に批判的で、排外的な大衆迎合主義といえます。

イングリッシュ首相は、NZファースト党のピータース党首とまだ話をしていないとしていますが、協議は数週間かかると見込みだとコメントしました。一方、労働党のアーダーン党首は、NZファースト党との連携でも過半数に達しないため、緑の党を加えた3党連立を目指します。

イングリッシュ首相が続投するか、労働党が9年ぶりに政権に復帰するか。どちらの可能性もあり、現時点での予測は不能です。NZドルが今週に入り売られているのは先行き不透明感を嫌ったためで、この状態がしばらく続きそうです。27日の取引でNZドルが反発しましたが、上げ幅は限定的でした。

仮に、労働党の政権になる場合は、政策が大幅に変わることが予想され、NZドルが大きく変動する可能性があります。

「金利据え置き」

ニュージーランドの中央銀行は28日、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レートを1.75%で据え置くと発表しました。

経済指標に強弱感があり、据え置き予想がコンセンサスでした。スペンサー総裁代行は、声明で「貿易加重平均の為替レートがやや下がった」と指摘、通貨安がインフレ上昇やバランスのとれた成長に役立つと述べました。その上で「金融緩和を相当期間続ける。不確実性が残り、政策修正が必要になる可能性がある」と結びました。声明を受け、NZドルがやや売られました。

ANZは少なくとも2018年12月まで利上げはないと予想。ウエストパックは、2019年末まで現行の1.75%が据え置かれるとみています。

NZドルは当面、金融政策や経済指標よりも政局に影響されるとみられ、不安定な状況が続く可能性があります。

「豪ドルも軟調」

豪ドルが軟調に推移しています。NZドルに連れ安、S&Pが中国を格下げしたことも影響しています。オーストラリア中銀のロウ総裁が、海外に追随しないとして、利上げに慎重な姿勢を示したことも効いています。

ただ、来年にも豪中銀が利上げに転じるとの見方も出ています。ANZは最新のレポートで、中銀が来年中に0.50%利上げするとの見方に修正したとコメントしました。来週3日の中銀会合と5日の小売売上高に注目したいとしています。

豪ドルの対米ドル相場は0.80を下回った水準で推移しています。0.80を超えた豪ドル高は「行き過ぎ」との見方が少なくありません。上値の重い展開が当面続くと予想されています。クロス取引の対円相場は、米ドル/円の振れが大きいため、その影響を受けるとみられます。


  [September 28, 2017 AN0109] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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