週刊2分でわかる豪・NZ

2017/11/232018年の豪ドル見通し

「軟調」


オーストラリアの大手銀ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が21日発表した四半期企業調査では、第3四半期(7-9月)の企業の景況感と景気先行指数がともに上向きでした。


NABの調査ではまた、前回調査より多くの企業が、豪ドル相場の水準が好ましいと考えていることもわかりました。調査実施時点の豪ドルの対米ドル相場は0.79。現在よりやや高い水準でした。


オーストラリアの中央銀行(RBA)のロウ総裁は、21日にシドニーで開かれたイベントで、オーストラリア経済について慎重ながらも楽観的な見通しを示しました。


ただ、ロウ総裁は、インフレ率がしばらくは平均を下回ると述べた上で、緩和的な金融政策の継続が適切との考えを示しました。近い将来に政策を変更する強い根拠がないと述べました。発言を受け、RBAが当面の間、現行の1.5%を据え置く可能性が高いとの見方が広がりました。


RBAが21日に公表した議事録では、賃金やインフレの上昇ペースをめぐる「相当な不透明感」を警戒していることがわかりました。


「2018年の豪ドル」


南半球にあるオーストラリアに夏が近づいています。現在は、季節的に北半球の5月末に相当します。年末気分ではない。個人的にそう思うのですが、年末らしく新年の見通しが出始めました。


ブルームバーグによると、モルガンスタンレーは、豪ドルが2009年以来の安値水準に下落すると予想しています。


アメリカのFRBが利上げを継続する方向であるのに対し、RBAは政策金利を維持。いずれ米豪の金利が逆転する見通しです。レバレッジファンドの豪ドルのロング(買い)ポジションが4年ぶりの高水準に達したが、ポジション調整が始まったとしています。


その上でモルガンスタンレーは、豪ドルの対米ドル相場は2018年末に0.67、2019年に0.65まで下落すると予想しました。


ブルームバーグが30人以上のアナリストを対象に実施した調査では、2018年の豪ドル/米ドルの中間予想が0.80でした。豪ドルに最も悲観的なのがモルガンスタンレーでした。


独立系情報会社のポンドスターリングライブによると、バークレイズも2018年の豪ドルが軟調に推移すると予想しています。G10通貨の中で最もパフォーマンスが悪そうだとしています。米豪の金利格差が無くなる、もしくは逆転する見通しであること、低インフレ、家計負債の拡大などを理由にあげています。


地元の大手銀ANZは、豪ドルの対米ドル相場が2018年12月末までに0.74まで下落すると予想。一方で、クロス取引の対円相場は89円50銭との見通しです。これは来年末の米ドル/円見通しは118円と、円安を想定していることが影響しています。


NABは、2018年末の豪ドル/米ドルが0.73、豪ドル/円は88円を予想しています。


強弱感があるものの、全体的に豪ドルが対米ドルで下落するとの見方が優勢です。当面の間、豪ドルの対円相場は軟調に推移するとみられています。上昇局面でも上値が重そうです。クロス取引の対円相場は、米ドル/円の振れに左右されそうです。


「米国債利回りに敏感か」


22日の欧米の外国為替マーケットでは、豪ドルが対米ドル相場で上昇、対円で下落しました。米国債の利回りが低下し、米豪の利回り格差が縮小したことが影響。全体的な米ドル売りも豪ドルにポジティブでした。目先は、米国債の利回りに敏感に反応する可能性がありそうです。


 


 [November 23, 2017 AN0117] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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