週刊2分でわかる豪・NZ

2019/01/17豪ドルとNZドルの相場観

「上値重いNZドル」


このところ、NZドル相場の上値の重さが目立ちます。


米中の貿易をめぐる協議の進展、中国政府の景気刺激策、堅調な乳製品のオークション。ポジティブなニュースが出るごとにNZドルは上昇しますが短期的、すぐに軟化します。


ニュージーランドの中央銀行にあたる準備銀行(RBNZ)が年内に利下げするとの観測が増えつつあることが背景にあるとみられます。年末に発表されたニュージーランドの第3四半期(7−9月)期のGDPは前期比0.3%増と、5年ぶりの低い伸びを記録したことが大きく影響しています。


金融危機の後、アメリカのFRBをはじめ世界の主要な中央銀行は超金融緩和政策を続け、多くの国が政策金利を0%近辺まで引き下げました。RBNZも利下げしましたが、一定の金利水準は維持されたため、NZドル、NZドル建ての金融商品の収益性が意識されました。


しかし、FRBが先頭を切って2015年12月に引き締めに転じ、去年12月までに9回利上げしました。足もとで金利水準が逆転、NZドルが軟化する要因になりました。ここにきて、利上げサイクルが最終局面に近づいていることをFRB幹部が示唆したことで、状況が変わりました。NZドルが買い戻される展開が続きました。RBNZの利下げ観測はそのムードに水を差すものでした。


「利下げ確率40%」

 

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は、RBNZが2019年11月に政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を0.25%引き下げると昨年末に予想、従来の予想を修正しました。ANZは2020年にRBNZが合計で0.50%追加利下げするとみています。OCRは1.0%に低下することになります。


ANZは今週14日付の最新のレポートでも、RBNZの利下げ予想を維持。ニュージーランドのインフレ率を目標レンジ内で持続的に推移させる必要があることや、世界経済、特に中国経済の見通しが不透明なことなどが利下げ予想の背景だと説明しています。


ANZは、利下げ見通しを反映して、NZドルの下落基調が続くと予想しています。対円相場は3月末が70.40円、6月末は67円、12月末は61円との見通しです。


一方、ウエストパックのエコノミストは、RBNZの次の動きは利上げだと予想。ただ、利上げ時期は当初予想より遅れ、2020年前半になるとみています。


デリバティブ市場は、RBNZが年内に利下げする確率が40%あることを示唆しています。


RBNZの金融政策をめぐる見方が、当面のNZドルに影響することが予想されます。NZ国内の経済指標に敏感になる可能性があります。FRBの政策、米中貿易戦争の行方と中国経済の動きが引き続き影響することも予想されます。


「豪ドルのクロス」


2019年の豪ドルは、対米ドルでは小動き、あるいは小幅高になるとの予想が優勢です。対円相場については、豪ドル安予想がやや多い。


これは、米ドル/円が下落するとの見通しを反映したもの。ANZは、米ドル/円は年末に100円になると予想。その影響で、豪ドルの対円相場は年末に70円ちょうどまで下落するとみています。


一方、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は、週間見通しの中で、豪ドルが、FRBが利上げに慎重になるシグナルを出している恩恵を受けるほか、中国の人民元の上昇がポジティブに影響するだろうとコメントしました。中期予想では、来年1月の米ドル/円相場を108円と予想。豪ドルの対円相場は81円との見通しでした。


ANZとNABの相場観にギャップがあります。今後の豪国内の経済指標、米中交渉と中国経済の行方次第で見方が修正される可能性があります。


 [January 16, 2018 AN0175]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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