週刊2分でわかる豪・NZ

2018/10/18慎重だった豪中銀、NZドルの底はまだ?

「相当期間の据え置き」

オーストラリアの中央銀行である準備銀行(RBA)が16日、今月2日に開いた金融政策決定会合の議事録を公表しました。

議事録の中でRBAは、豪ドル安が経済成長を支援する公算が大きいとの見方を示しました。政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートについては、次の動きは引き上げになる可能性の方が大きいとしつつも、雇用やインフレ率の改善が小幅にとどまっていることから、近いうちに政策調整を行う「強い根拠がない」と指摘しました。

RBAは先に金融安定報告書を公表しました。12日発表の報告書では、住宅価格の下落、高い水準の家計債務、銀行による幅広い不正行為、世界的な金融市場の動揺などさまざまなリスクをあげました。

特にリスクを強調したのは住宅市場でした。住宅価格の大規模で急激な調整が金融システムと家計のバランスシートに悪い影響を及ぼしかねないと警告しました。オーストラリアでは、シドニーやメルボルンなど大都市圏を中心に住宅価格の下落が続いています。

RBAの金融安定報告書と議事録は、いずれも慎重なものでした。17日に公表されたアメリカの中央銀行FRBの会合(FOMC)議事録やパウエル議長のタカ派発言と対照的でした。FRBは、堅調な経済が利上げを正当化しているとして、利上げを継続する方針を明確にしています。

RBAとFRBの政策金利の格差は0.75%。10年国債の利回り格差は約50ベーシスポイント(0.50%)です。アメリカの方が高い。年末から来年にかけて格差が100ベーシスポイント(1%)を超える見通しで、豪ドルの重石になるとみられます。

「NZドルの下落基調続く?」

バンク・オブ・ニュージランド(BNZ)が今月4日、NZドルの悪材料が山積みになっているとする為替レポートを出しました。中国経済の減速と人民元安の見通し、乳製品価格の下落基調、原油高、さらにはトランプ大統領の関税の影響など。

BNZがレポートを発表してから数日間、NZドルは軟調に推移しました。しかし、11日以降は堅調でした。当面の底を打ったのか?

BNZは17日付で、NZドルの下落基調が終わったと言い切れないとする新たな為替レポートを出しました。

レポートの中でBNZは、NZドル相場がやや戻ったのは、テクニカルとファンダメンタルズ要因の組み合わせによるものだとコメント。6ヵ月に渡る下落基調がまだ終わっていない可能性があるとしています。

シカゴの通貨先物ポジションでは、NZドルの売りポジションが増えました。記録的なネットショート。ポジション調整によるフローもNZドル相場を支えた可能性が指摘されています。BNZは、来週発表される通貨先物のデータは偏りが緩和されると予想しました。今後、投機筋のポジション調整がNZドルを支えることはなさそうだということです。

アメリカとニュージーランドの政策金利の格差は0.50%。10年国債の利回り格差は50ベーシスポイント(0.50%)を超えています。豪ドルと同じ理由で、アメリカとの金利、利回り格差も引き続きNZドルにネガティブに影響しそうです。

NZドルの当面の大きな材料は来月7日発表の雇用統計と翌8日の中銀会合。豪ドルについては、18日の雇用統計、31日の消費者物価指数、そして11月6日に予定される豪中銀の金融政策を決める会合が材料になる見込み。いずれの通貨も当面、マーケット全体のリスク心理に左右される展開が予想されます。

 [October 18, 2018 AN0163] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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